海技士を目指す日々の記録|両親へ贈った、一杯の中華料理と感謝の形

3月4日 水曜日
昨日に比べるとぐっと気温が上がり、春の気配を肌で感じる一日でした。
鼻をくすぐる花粉の気配さえなければ、もっと心穏やかに過ごせたのかもしれません。
今日は予定していたアルバイトが時間的に合わず、思いがけず「休み」という名の空白が手元に転がり込んできました。
明日まで続くこの休養を、私は海技士という夢へ向かうための大切な充電時間にあてることにしました。
静かな時間:試験勉強と読書のひととき
午前から午後に向けて、部屋には教科書をめくる音と、時折重なる筆記具の音だけが響きます。
海技士という資格。
それは、果てしない海を職域にするための、いわば通行許可証のようなものです。
その取得には膨大な知識と、そして相応の覚悟が求められます。
試験勉強の合間に、ふと一冊の本を開く。
文字を追うことで、資格勉強で張り詰めた頭が少しずつ解きほぐされていくのを感じます。
窓から差し込む春の光の中で、自分の内面と向き合うこの「静」の時間は、目標に向かって走り続ける私にとって、欠かせない心の栄養となっていました。
感謝を形に:近所の中華屋さんでの恩返し
夕暮れ時、私は両親を誘って近所の中華屋さんへ向かいました。
特別な高級店ではありません。
けれど、家族で何度も通った、なじみの味がある場所です。
テーブルに並ぶ温かな湯気。
そこで私は、アルバイトで稼いだお金で「今日は僕が(私が)出すから」と伝えました。
両親は最初、「そんなに気を遣わなくていいのに」と、少し困ったような、でも嬉しそうな顔をして言いました。
確かに、海技士の資格取得には多額の費用が必要です。
私自身、これからもっとお金を貯めていかなければならない身です。
けれど、それでも今日、ここでご馳走したかった。
日頃から多大なサポートをしてくれている両親に対し、言葉だけではない「形」で感謝を示したかったのです。
海を志す者の、一番身近な「灯台」
「ごちそうさま。美味しかったよ」
その一言を聞けたとき、私の心はすとんと落ち着きました。
多額の費用がかかる挑戦をさせてくれていること。
日々の生活を支えてくれていること。
その重みを知っているからこそ、自分の手で得た報酬を両親のために使うことは、私自身の「けじめ」でもありました。
海へ出れば、荒波の中で進むべき方向を指し示してくれる「灯台」が必要になります。
今の私にとって、その灯台は紛れもなく両親です。
恩返しをするつもりが、結局はその笑顔にまた私が励まされてしまいました。
明日までの休養を終えたら、また夢への航海の為アルバイトを再開します。
温かな中華料理の味を、お守りのように心に抱いて。
【結びに代えて】
ここまで読んでくださったあなたに、心から感謝いたします。
これは「完璧な誰か」の物語ではなく、試行錯誤を繰り返す一人の人間の、現在進行形の記録です。
第1話から順に読み進めていただくことで、単なるエピソード以上の「物語としての重み」を感じていただけるかもしれません。
あなたの「スキ」や「フォロー」が、暗い夜道を照らす灯火のように、この連載を続ける勇気をくれます。
その温かな反応のひとつひとつが、私がこの連載を書き続けていくための、何よりの原動力になります。
