重量12台の試練と、予期せぬ3時間の空白。試験まであと4日
3月14日 土曜日
カレンダーをめくる手が少しだけ重く感じるのは、試験本番まで残り「4日」という数字が、静かに、けれど確実に迫っているからだろうか。
そんな焦燥感を抱えながら、私は今日も派遣の現場へと向かった。
川崎の現場にて:JA農協の事務机12台という「重み」
今日の現場は、神奈川県川崎市。
JA(農協)の事務所における、事務机の撤去・搬入・設置作業だ。
「12台」という数字だけを聞けば、すぐに終わるように思えるかもしれない。
しかし、現実はその倍の工程が待ち受けていた。まずは、長年使い込まれた古いスチールデスク12台をすべて運び出し、完全に更地にする「撤去作業」からスタートした。
使い古されたスチールは、独特の重みと角の鋭さがある。
狭い通路を縫うようにして、一歩ずつ、慎重に運び出す。
これだけで、すでに腕の筋肉は悲鳴を上げ始めていた。
ようやくスペースを確保したところで、休む間もなく今度は「新しいデスク12台」の搬入が始まる。
周囲には移動させた荷物が所狭しと積み上げられており、足の踏み場も限られている。
新品の机に傷をつけることは許されない。
極限の集中力と、スチール特有のずっしりとした質量が交互に押し寄せ、設置を終える頃には、全身にじっとりとした疲労がまとわりついていた。
それでも、無事に傷ひとつ残さず作業を完遂したとき、心地よい安堵感が胸をよぎった。
時計を見れば、ちょうどお昼時。
想定よりも早い完了だった。
早期終了の歓喜から、一転して「3時間の足止め」へ
「これなら午後には自分の時間が作れる」
現場にいたアルバイト仲間たちの顔に、ぱっと明るい色が差した。
予定より早く終わる喜びを噛み締めながら、私たちは事務所への帰路に就いた。
しかし、現実はそう易々と味方してはくれない。
帰りの高速道路で、不幸にも激しい車両事故が発生していたのだ。
車列はぴたりと止まり、動く気配を見せない。
結局、私たちは3時間もの間、渋滞の渦に飲み込まれることになった。
早く帰って試験勉強を進めたかった焦り、そして何もできない車中でのもどかしさ。
結局、事務所に到着したのは定時である夕方5時。
「早く終わったはずなのに」という皮肉な結末に、今日一日の疲れが一気に噴き出してきた。
迫る試験日と、明日の無事を願う夜
事務所を出ると、空はすっかり夕闇に包まれていた。
試験まで、あと4日。
時間は平等に過ぎていく。
どれだけ今日という日に翻弄されても、試験の日は刻一刻と近づいてくる。
明日もまた、東京の現場でのアルバイトが待っている。
肉体の疲労は隠せないが、せめて明日は、今日のような事故やトラブルに巻き込まれず、無事に一日を終えられることを願わずにはいられない。
一歩ずつ、泥臭く。
今の自分にできるのは、この重たい体を引きずってでも、明日へ向かうことだけなのだ。
【結びに代えて】
ここまで読んでくださったあなたに、心から感謝いたします。
これは「完璧な誰か」の物語ではなく、試行錯誤を繰り返す一人の人間の、現在進行形の記録です。
第1話から順に読み進めていただくことで、単なるエピソード以上の「物語としての重み」を感じていただけるかもしれません。
あなたの「スキ」や「フォロー」が、暗い夜道を照らす灯火のように、この連載を続ける勇気をくれます。
その温かな反応のひとつひとつが、私がこの連載を書き続けていくための、何よりの原動力になります。
