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国立清水での挫折を越えて。熊本での海技士試験合格と、100万円の自己投資で掴んだ「スタート地点」

3月18日 水曜日

2ヶ月前、国立清水海上技術短期大学校の受験に失敗したあの日、私の時計は止まったかのように感じていました。
しかし、2026年3月18日。
雨の熊本で、ついにその時計が再び動き出しました。
本記事では、海技士試験当日の緊迫した空気感から、面接でのサプライズ、そして100万円という莫大な費用と向き合う覚悟について、ありのままの記録を綴ります。
同じように海を目指し、不安と戦っている方の光になれば幸いです。

熊本の雨と、不合格のフラッシュバック

3月18日、水曜日。
今朝の熊本県は、朝からしとしとと雨が降っていました。
どんよりと低い空は、何だか怪しい雲行きの前兆のようにも感じられ、私の心に小さな不安の影を落とします。
昨夜は緊張に備えて早く眠りにつきましたが、やはり試験当日ということもあり、予定よりずっと早く目が覚めてしまいました。
民宿の食堂で温かい朝食をとりながら、同じ宿に泊まる仲間たちと試験内容について言葉を交わします。
お互いに鼓舞し合い、試験時間が近づいたところで学校へと向かいました。
民宿から学校までは、歩いてわずか5分。
雨の中、のんびりと歩を進めながらも、頭の片隅では2ヶ月前の苦い記憶が蘇っていました。
国立清水での不合格。
あの時の絶望感がフラッシュバックし、恐怖が脳裏をよぎります。
しかし、「今日こそは」と自分に言い聞かせ、事務所での受付を済ませて教室へと入りました。

試験本番:手応えを感じた筆記と、驚きの面接結果

教室を見渡すと、今回の受験者は40名。
例年の約25名という数字を大きく上回る人数が、海技士という高みを目指して集まっていました。
最初のハードルは、国語と数学のペーパー試験です。
解答用紙を前にした瞬間、一気に集中力が研ぎ澄まされました。
2ヶ月前の失敗を糧にしてきた成果でしょうか。試験問題は、自分でも驚くほどスムーズに解き進めることができ、確かな手応えを感じながらペンを置くことができました。
その後、運命の面接が始まりました。
質疑応答が進む中、面接官の方から思いもよらない言葉が飛び出しました。
「合格です」
まだ面接の途中段階にもかかわらず、その場で内定に近い旨を伝えていただけたのです。
その瞬間、視界がパッと明るくなったような感覚に陥りました。
今までの努力、不安、眠れない夜。
それらすべてが報われたと感じ、心の中は「ハッピー」という言葉では足りないほどの喜びに満ち溢れました。

100万円の自己投資と、奨学金という救済

合格の余韻に浸りながらも、次に待っていたのは現実的な「お金」の話、奨学金の手続きです。
今回の海技士資格養成講座(4.5ヶ月)を受講するには、決して安くない代償が必要です。
* 授業料:約50万円
* 下宿費:約50万円
  合計:約100万円
会社に所属し、費用を負担してもらえる「社船」の方々には問題ない額かもしれません。
しかし、私のようにすべてを個人で負担する身にとっては、これは莫大な、文字通りの「背水の陣」となる出費です。
だからこそ、無利子の奨学金制度は、私のような個人受験者にとっての命綱であり、救済です。
手続きを進める指先に、この100万円という投資を必ず未来で回収してみせる、という強い覚悟が宿りました。

スタート地点に立って:両親への感謝と未来への決意

すべての行程を終えて学校を出る頃には、辺りはすっかり夕闇に包まれていました。
明日の朝には飛行機で実家へ帰るため、今夜は熊本駅まで移動し、漫画喫茶で一晩を過ごします。狭いブースの中で一人、ようやく深く息を吐き出すことができました。
真っ先に浮かんだのは、両親の顔です。
今まで精神的にも、そして物理的にも私を支え続けてくれた両親には、感謝の言葉しか見当たりません。
この合格通知こそが、今の私にできる精一杯の恩返しだと思っています。
しかし、ようやく「スタート地点」に立てたに過ぎません。
ここで満足して止まるのではなく、これから始まる過酷な海の世界で大きく飛躍できるよう、一層精進していきたいと思います。

【結びに代えて】

ここまで読んでくださったあなたに、心から感謝いたします。
これは「完璧な誰か」の物語ではなく、試行錯誤を繰り返す一人の人間の、現在進行形の記録です。
第1話から順に読み進めていただくことで、単なるエピソード以上の「物語としての重み」を感じていただけるかもしれません。
あなたの「スキ」や「フォロー」が、暗い夜道を照らす灯火のように、この連載を続ける勇気をくれます。
その温かな反応のひとつひとつが、私がこの連載を書き続けていくための、何よりの原動力になります。

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