熱海の山中で電気自動車が沈黙。急な夜勤とバッテリートラブルに翻弄された1日の全記録
3月26日、木曜日
私の平穏な日常は、一本の電話から一変しました。
資金繰りのために引き受けた急な夜勤、そして熱海の山中での日勤。
順調に進んでいたはずのスケジュールを狂わせたのは、音もなく沈黙した電気自動車でした。
予定外の連続に翻弄されながらも、なんとか乗り切った泥臭い1日の記録を綴ります。
午後8時の電話から始まった、想定外の夜勤と資金調達
昨日は、待ちに待った休日でした。
お風呂を上がり、午後8時。
「さあ、これからまったりと夜の時間を過ごそう」と腰を下ろしたその瞬間、ポケットのスマホが震えました。
画面には派遣会社の名前。
「急遽、夜勤の人員が欠員してしまって……今から出勤してもらえませんか?」
一瞬の迷いはありましたが、今の自分には何よりも「資金」が必要です。
その切実な動機が背中を押し、私は二つ返事で依頼を快諾しました。
現場は大型ショッピングモール内の店舗改装に伴う、什器の搬入作業。
深夜の静まり返ったモール内で体を動かすこと約5時間、作業は予定よりもスムーズに進み、夜明けを待たずに終了しました。
帰宅してシャワーを浴び、数時間後に控えた「日勤」に向けて、泥のように深い仮眠に落ちました。
熱海の山中で直面した「動かない電気自動車」の絶望
数時間の仮眠を経て向かった次の現場は、温泉地・熱海の山中にある防災センターでした。
作業内容は、会議用テーブルや椅子の搬入・開梱、そして設置。
「少しでも早く終わらせて、体を休めたい」
その一心で、お昼休憩も返上して作業を詰め込みました。
その甲斐あって、午後1時には全ての作業が完了。
予想以上の早じまいに、「今日はこのまま早く帰ってゆっくりできる」と、私はご満悦の表情で派遣会社の社有車——電気自動車(EV)へ乗り込みました。
しかし、そこで事件は起きました。
スタートボタンを押しても、エンジン(システム)が全くかからないのです。
説明書を隅から隅まで読み込み、手順を何度も確認して再試行を繰り返しましたが、車はピクリとも反応しません。
熱海の山中、人里離れた静寂の中で、ハイテクなはずの電気自動車が無機質な鉄の塊と化した絶望感は、筆舌に尽くしがたいものでした。
ロードサービスと再始動。トラブルで失った2時間と次なる試練
自力での復旧を諦め、派遣会社を経由して保険会社のロードサービスへ修理を依頼しました。
山道ということもあり、到着を待つ時間は長く感じられましたが、駆けつけた修理業者の手によってなんとか再始動に成功。
業者の方からは「一時的な復旧なので、またいつ同じ症状が出るかわかりません」という不安な言葉を投げかけられましたが、今はとにかく動くことが先決です。
結果として、2時間ほどバッテリートラブルで足止めを食らう形となりました。
せっかく早く作業を終わらせたアドバンテージは、山中の冷たい空気の中に溶けて消えてしまいました。
命からがら事務所へ戻り、ようやく一安心……と思ったのも束の間。
派遣会社の担当者から告げられたのは、「明日も夜勤の人手が足りない」という非情な現実でした。こうして、今日の日勤の直後に、再び夜勤が追加されることになりました。
私の「長い1日」は、まだ終わる気配を見せてくれません。
【結びに代えて】
ここまで読んでくださったあなたに、心から感謝いたします。
これは「完璧な誰か」の物語ではなく、試行錯誤を繰り返す一人の人間の、現在進行形の記録です。
第1話から順に読み進めていただくことで、単なるエピソード以上の「物語としての重み」を感じていただけるかもしれません。
あなたの「スキ」や「フォロー」が、暗い夜道を照らす灯火のように、この連載を続ける勇気をくれます。
その温かな反応のひとつひとつが、私がこの連載を書き続けていくための、何よりの原動力になります。
