博多のうちのお正月
うちのお正月は、年越しそばに始まる。
そこから、おせち、お雑煮、がめ煮、鰤の刺身。
人数が多い分、とにかく量が多い。
おせちは基本的に二つ買うけれど、人気の具はあっという間になくなるので、結局いくつかは作り足すことになる。
伊達巻き、黒豆、栗きんとん、焼き海老。
「買う」と「作る」をうまく混ぜるのが、おばあちゃんから受け継いできた
うちのやり方だ。
前日から始まる仕込み
がめ煮とお雑煮は、前の日から準備が始まる。
どちらも、出汁は同じ。
使うのは、飛魚(あご)出汁と、干し椎茸の戻し汁。
飛魚出汁
大きい鍋に飛魚と水を入れ、半日ほど置く。
そのまま火にかけ、沸騰直前まで温めたら飛魚を取り出す。
椎茸の戻し汁
干し椎茸は人数分をジップロックに入れ、水を注いで冷蔵庫へ。
これも半日ほど。戻し汁は濾して、出汁として使う。
この二つが揃うと、「お正月が来たな」という感じがする。
がめ煮
がめ煮に入るのは、
金時人参
里芋
骨付き鶏もも肉
レンコン
サヤエンドウ
こんにゃく
サヤエンドウ以外は、すべて下茹でしてから使う。(サヤエンドウは飾り付け用)
下茹でした具材を、出汁・砂糖・醤油・みりんで煮る。
特別なことはしないけれど、下処理をきちんとすることで、
味がきれいにまとまる。
お雑煮
博多雑煮は、具が多い。
金時人参
里芋
戻した椎茸
鶏もも肉
大根
焼き餅
焼き海老
焼き鰤
カツオ菜
蒲鉾
銀杏
うずらの卵
水菜
これもすべて下茹で。
人参・里芋・椎茸は飾り切り。
大根は餅の下に敷くので薄切り。
カツオ菜は一口サイズにしておく。
出汁の配合
あご出汁:1L
椎茸の戻し汁:大さじ3
みりん・薄口醤油・酒:各100〜200mL
(1:1:1なら、量はどれくらいでも)
ここに鶏もも肉を入れて、一度沸かす。これで出汁は完成。
下茹でした具材は、食べる直前にこの出汁で軽く温めるだけ。
火を入れすぎないのがポイント。
温まったら盛り付ける。
お雑煮の具材が持つ意味
お雑煮は、「一年をどう生きたいか」を、
言葉ではなく具材で並べた料理だと言われている。
このお雑煮の中にも、ちゃんと願いが入っている。
餅
力もち・粘り強さ。
新しい一年を生き抜くための“体力そのもの”。鶏肉
「取り(鶏)」に通じることから、福を“取り込む”意味。海老
腰が曲がるまで長生きできるように、という長寿の象徴。鰤
出世魚。
年を重ねるごとに、少しずつ名前が変わるように、
自分も少しずつ前へ進めますように。里芋
親芋・子芋・孫芋と続くことから、
家族が途切れず、つながっていくことへの願い。大根
根を張る。
この一年の生活の土台になるように。椎茸
長く乾燥させても、また戻る。
“回復する力”と“しぶとさ”。金時人参
紅白の「紅」。
お祝いの色。蒲鉾
半円は、初日の出の形。
新しい年の朝を、そのまま器に入れる。銀杏、うずらの卵
子孫繁栄、そして健康。カツオ菜
「勝つ」に通じる縁起野菜。
福岡のお雑煮らしい、力強い一枚。
全部、おばあちゃんから習った
うちのお正月事情は、全部おばあちゃんから習った。
おばあちゃんとおじいちゃんはいっつもケンカしながら、なんだかんだしていて、
小さい頃の私は、怖いながらもなぜか毎年その輪の中にいた。
ほんとにいろいろ行事を仕込まれた。
しめ縄、鏡餅のお飾り。
黒の昆布と白の干烏賊、みかん、干し柿、黒豆。
お正月の歌、書初め、お屠蘇(めちゃくちゃ砂糖をいれる)、
百人一首、坊主めくり、もちろんお年玉。
お正月に始まり、節分、桃の節句、端午の節句……
一年を通して、全部ちゃんとする人だった。
今年、七回忌を迎えるおばあちゃんの影を思いながら、
うちでは毎年、行事を迎える。
