見出し画像

雨はばらばらだったメロディーをひとつに集めてくる

 

晩夏
通り雨が草木を濡らす

木々の青を
花々の黄色や赤を
ゆっくり
塗り替えていくような雫たち

場所を明け渡した
景色の空洞に
水がたっぷり注がれる

蒼い水が
奏でる秋の
繊細で優しくメロディー

窓の外の景色は
くっきりとした輪郭は
次第に攻撃的な色を失い
雨粒が
柔らかな切なさを連れてくる

虫たちのモノローグ

雨上がりの街を
子どもたちが
くるくる傘を回して
通りすぎた
ちりりんと
自転車のベルを鳴らして
少女がたちこぎをしている

鳥たちの囀り
雨で
離れてしまった仲間を呼ぶ声

それぞれの
モノローグは
やがて
ダイアローグへと変化する

「夏はいってしまったね」
窓を開けて君が呟いている

「そうだね
僕らは一緒に秋を迎える」
背中越しで答える

ほら
ちゃんとダイアローグしてる

めくるめく季節の中で
君は君のメロディー
僕は僕のメロディーを
それぞれ
奏でればいいさ

ほら
不朽の名作「カサブランカ」

対立するふたつのメロディーが
いつの間にかひとつになって
素敵なメロディーを創りだしてる

ほら
空を虹が渡っている
雲間から
太陽も顔を出している

君と僕
ばらばらだった想い
でも
ばらばらだってかまわない
だってほら
違うメロディー奏でても
ひとつの曲になったりするだろ

移ろいゆく季節

新しい季節を
歓迎する準備はできている
ひとつの
メロディーを奏でながら


空洞に蒼き水の注がれむ
ひとつに束ねモノローグの歌

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集