犬島。3度目で見ることができた情景。
わずか10年で操業停止となった明治時代の銅の精錬所の遺構(近代化産業遺産)を美術館として再生。廃墟と自然、何かを突き付けられる現代アート展示。一言で説明できない魅力を持つ犬島に3度目、3年ぶりに上陸し、やっと何か手にすることができた(気がした)旅の記録。(その1回目)
■犬島アートプロジェクト,犬島精錬所美術館
犬島(いぬじま)のことを知ったのは、2013年の森美術館で、柳幸典氏の「ユーラシア」という作品を観たことがきっかけだったと思う。その作品は、アクリル板越しに色を付けた砂で万国旗が描かれ、その中を「アリ」が縦横無尽に巣穴を作り、国旗が崩壊していくさまを展示した「作品」だった。まさに不意打ちのような衝撃があった。
その柳氏が1995年着想したのが「犬島アートプロジェクト」であり、2008年「犬島精錬所美術館」を完成させており、そこには「明治の近代産業遺構×三島由紀夫の(日本への)メッセージ×環境配慮」という要素があり・・・と聞きかじり、これはいつか訪ねなければ、と決めた。

■高松-犬島往復 は1日がかり
犬島までは遠い。地理的には岡山市・宝伝から約3kmという距離だが、岡山ルートの場合、岡山駅―JR線―定期バスー宝伝港―犬島となり、本数が限られる。距離や交通費はかさむが、高松港からのほうが、まだアクセスは良いように思える。
たとえば今日は、行き:高松10:14発―直島11:04着(フェリー)、直島12:10発―犬島13:05(高速船)、帰り:犬島15:47―直島16:39(高速船)、直島17:00―高松18:00(フェリー)。料金はフェリーの往復割引を入れてトータルで4750円だった。(+美術館ほか入場料2100円)

■「こういう空」の下で撮りたかった
すべて高松―直島―犬島ルートで、今日で犬島行は3度目。1週間前から気象情報を見続けて「曇り」らしいことはわかっていたけれど、曇りなのだけど空は明るく、やわらかな日が射している。空を見ながら「もしかしたら」と、ドキドキしてきた。というのは、過去2回の探訪では、一度は雨が降りそうな悪天候、もう一度は晴天のコントラストが強すぎて、いずれも写真にすると、廃墟っぽいというか、なんとなくおどろおどろしく写ってしまって「うーん、こういう感じじゃない」と、納得がいかなかったのだ。
そう、こういう空の下で撮りたかった。

特に、この「発電施設跡」が気に入っている場所なのだけれど、やっと、「そうそう、この感じ」という雰囲気で撮ることができた。

■3度目にして,モヤモヤが少し晴れた
そして、3度目にしてやっと、「日本の近代化に警鐘をならした三島由紀夫をモチーフにした柳幸典の作品」をやっと、自分のなかに「少しだけ」収めることができた、ような気になることができた。そして、「遺産、建築、アート、環境」というつながりも、少しだけ。
本当に、過去2回、一体何を鑑賞していたんでしょう、という感じだが、やっと、自分のバイアスみたいなものを外してアートの中に入り込んでみて、そこから何か感じるような見方が、少しできるようになってきた、ということかもしれない(だったらいいな)。
犬島についてはまだ書いておきたいことはあるし、犬島精錬所美術館の展示作品についても、文章でまとめておきたい。それは改めて。

