思いつかない|アマノ文筆クラブ
あの人は、時間にうるさい。
私が十分前に着いても、そこに居て、ただ笑っている。
私の知らない話を、いつもする。
昨日も、コーヒー豆の産地で三十分。
そういう時は私がただ笑っている。
男女問わず、誰とでも仲がいい。
私はその中のひとり。
何をやっても、勝てない。
ジャンケンですら、五回連続で私が負ける。
悔しくて睨むと、また笑う。
男のくせに、甘いものが好き。
パフェの最後の一口を、私にはくれない。
「太るだろ」と言いながら。
ほら、あの人にはこんなに欠点がある。
なのに——
思いつかない。
彼を嫌いになる方法が、どうしても。
甘野充さんの、アマノ文筆クラブに参加します。
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