街灯|3つのお題に空想のひらめきを|名前のない物語
一人で歩いていた。
学校からの帰り道。
友達は、みんな塾に行っている。
暗くなってきた中、いつもの道を歩く。
灯りが途切れる道。
四つ角に古い街灯が、一つ。
点いているのを見たことがない。
壊れているのかもしれない。
「この街灯が、灯るといいのにな」
そう呟いた。
街灯が、ぼんやりと光った。
(え?)
「灯るの?」
街灯が瞬いたように見えた。
「私が、灯るのと聞いたから?」
私は嬉しくなって、「トモル」と呼びかけた。
そういうと光が強まったように思えた。
次の日、四つ角で街灯を見上げて呼んでみた。
「トモル」 街灯が、光る。
私は、笑った。
それから毎日、話しかけるようになった。
「今日ね、テストで良い点とれたよ」
「鉄棒がうまくできないんだ」
「トモル、知ってる?」
街灯は、何も言わずに光っている。
それだけで、十分だった。
ある日、近所の人が、教えてくれた。
「この街灯、古いから新しくするんだって」
次の日、学校からの帰り道、私は、街灯の前に立った。
「トモル」
街灯が、光る。
「お別れなんだね」
「…」
「今まで、ありがとう」
翌日の土曜日。お母さんと買い物に出かけた。
帰り道、夕暮れの四つ角を新しい街灯が白く照らしていた。
その時、声をかけられた。
振り向くと同じクラスの子だった。
「ねぇ、知ってた?
ここの街灯、新しくなったんだよ。あかりちゃん」
もちろん私は知っている。
友だちに自分の名前を呼んでもらえる嬉しさも。
私は小さく呟いた。
「ありがとう、トモル」
片桐 みかん さんの3つのお題に空想のひらめきを、に参加致します。3つのお題の中から、「名前を呼ぶと光る、古い街灯」を使わせていただきました。
今回の作品は、このnoteの複数の独自シリーズにまたがる物語に位置付けています。
ひとりじゃない・名前のない物語
「ひとりじゃない」はこのnote独自の企画です。
ひとりだと思っても、誰かがそばにいる。そんな物語です。
✨「名前のない物語」はこのnote独自の企画です。
ちょっぴりファンタジー、でもひょっとしたら……
というテイストの物語たちです。
こえにならないことばをさがす・こころのかけらをつなぐ
しばらく中断していますが、このnoteには独自シリーズとして
『こえにならないことばをさがす』と『こころのかけらをつなぐ』
があります。
誰もがもっと小さかったころの「言葉にできなかった気持ち」。
そんな声なき声に耳を澄ます創作童話です。
✨「こえにならないことばをさがす」
小学校低学年を想定読者としつつ、高学年から大人にも読んでもらいたい物語。
✨「こころのかけらをつなぐ」
小学校高学年から中学生以上を想定読者とした、大人のための物語。
#3つのお題に空想のひらめきを #名前を呼ぶと光る古い街灯
#短編小説 #共創
#創作 #街灯 #友達 #名前 #孤独 #繋がり #子ども
#ファンタジー #温かい #余韻
#ひとりじゃない #名前のない物語
#こえにならないことばをさがす #こころのかけらをつなぐ
#童話
🧡 スキ 🤝 フォロー 💬 コメント をくださり、
いつもありがとうございます。
