浦島太郎|3つのお題に空想のひらめきを
気づくと竜宮城から浜辺に戻ってきていた。
亀を見送ったところでそのまま私は意識を失った。
浜辺で倒れていた私を助けてくれたのは、若い夫婦だった。
ここは別世界だった。
私の話を聞くと夫婦は笑ったが、私の着物と言葉遣いに、
だんだん顔色を変えた。
行くあてのない私はしばらく夫婦の家に居候することになった。
せめてものお礼にと、乙姫様がくれた宝物を渡すと
夫婦は大喜びで買い取ってくれた。
「とりあえず、これがないと生きていけませんよ」
そう言って、彼らは私に「すまほ」という板を持たせた。
はじめはなんのことかわからなかったが、
これは魔法の板だった。
知りたいことが、何でも出てくる。
私は、震える声で「すまほ」に尋ねた。
「乙姫」
たくさんの店や、絵が出てきたが、あの人ではなかった。
村の名前を言ってみたが、
見つかりません、
と言われた。
夫婦から聞いた名前を言ってみた。
「浦島太郎」
私は、伝説になっていた。
亀を助けた、優しい漁師。
竜宮城で楽しく暮らした、幸せな男。
しかし、それ以外のことは何も分からなかった。
誰もが知っている男のことなのに。
私は、魔法の板をそっと閉じた。
目の前の海だけが、本当の私を覚えていた。
片桐みかんさんの企画に参加します。
利用させていただいたお題は、
「浦島太郎スマホ買う」
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