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不器用

告白しよう。

実はラブレターをもらったことがある。たった一度だけだけれど。

学生時代、下駄箱の中に入っていた。なんだろう?宛名を見て、ひょっとしたら、と気づいた私は慌ててカバンの中にしまった。幸い周囲には誰もいなかった。

待ちきれなかった私は、帰り道に逃げるようにコンビニのトイレに入り、封を開けた。

意中の人からではなかったけれど、その夜は、にやにやが止まらず、母が不思議がるほどだった。

ベッドに入ったがなかなか眠れない。けれど、ふと思った。ひょっとしたらからかわれているのだろうか?

差出人の名前も、もちろん文面も誰かのいたずらなのかもしれない。そう思ったらますます眠れなくなった。

そのあとその人と会っても、私は努めて普通に接したし、相手も何も言わなかった。本当のラブレターだったのかどうかを確かめる術はもうない。

本物だったとしたら悪いことをした。返事をすれば良かった。

もう十年以上も昔の話だ。

お互いに、とりわけ私が不器用だった。

考えてみると、今もあまり変わらない。


机の上には薄いピンク色の便箋。2時間以上も一文字目を待っている。





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