続・肩重い、少しだけの勇気|片想い文芸部
電車が急ブレーキをかけ、大きく揺れた。
「お客様に申し上げます。ただ今の急ブレーキは・・・」
アナウンスが流れる。
私の肩にもたれかかってうたた寝をしていた彼が起きて尋ねる。
「あれっ、俺寝てた?何かあったの?」
私の肩に頭を載せていたことなど、気づかない様子。
私はほっとすると同時に残念だった。
無意識にせよ、私にもたれかかっていたことを少しだけで良いから覚えていてほしかった。
仲間5人で海に行った帰り、他の三人とは電車を乗り継ぐ時にはぐれてしまっていた。
はしゃぎ過ぎた反動で、彼は私にもたれて居眠りをしていたのだった。
ショートメッセージを改めて確認すると、「このまま流れ解散で。お疲れ様」との伝言が入っていた。
決定事項としてのメッセージに少し安堵した。私は、どうすると聞かれるといつも困ってしまう。自分からそれを尋ねるのも何か違うような気がする。
友達とは一緒には居たいけれど、指示を待って、誰かの後をついていくようなやりとりが好きだった。
自分から行動するのも苦手で、だから恋愛もなかなかうまくいかない。
告白なんて、とんでもない。
そんな私が思い続けているのが、今隣にいる彼。
彼からすれば私は単なる友達のひとり。それは分かっている。
特別な関係でなくても、近くにいられるだけで良いと私は思っている。
彼の仕草を見、彼の声を聞いていたいから。
そんな私にとって、先ほどのひと時は至福の時だった。彼は覚えていないようだが、彼の頭の重さを肩に感じ、彼の寝顔を見ることができた。
あと少しで良いから、せめてその余韻を楽しみたいと私は思った。
彼の答えに期待しながら。勇気を振り絞って私は言った。
「このあとどうする?」
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