鳩に託して|虹色創作部
公園のベンチで、私は小さく息をついた。日課のように二人で鳩たちに餌をやるようになってから、二ヶ月。
昨日、私は彼に言った。「もう会わない方がいいわね」。
彼は驚いた顔をした。理由を尋ねられたけれど、私はうまく答えられなかった。このまま続けていてはいけないという思いだけは確かだった。
鳩たちは毎日同じ時間にここにいる。手のひらに餌を乗せると、警戒しながらも近づいてきて、ついばんでは逃げていく。中には手に止まる鳩もいる。
でも、やがて飛び立っていく。それは当たり前のことだ。
彼との関係も、そんな風だった。遠慮がちに始まり、次第に親しくなった。一緒にいる時間が増えて、お互いを知ってきた。
「好きになっちゃったんだ」
照れくさそうに彼がそう言ってくれた時、私はとてもとても嬉しかった。けれどそのあとすぐに、大切なものを失ってしまったことに気づいた。
友達でいれば良かったのかもしれない。このまま本当の恋人になってしまったら、いつか別れなければならない日が来る。
それならば、今のうちに。
一羽の白い鳩が、羽音を立てて手のひらから青空へ舞い上がった。
鳩たちは手紙を運んでくれると昔の人は信じていた。もしそうなら、私の言葉を運んでほしい。
「ごめんなさい。そして、ありがとう」
声に出さずに心の中でつぶやく。彼に届くはずもない。けれど、鳩なら空の向こうまで運んでくれるかもしれない。
空を見上げると、さっきの鳩が午後の光を受けながら、ゆっくりと弧を描いて飛んでいる。透明な青空に白い翼。やがてそれがひとつに溶け込んでいく。
これからは、一人で公園に来る。鳩たちは今までと同じように飛んできてくれるだろう。
私も、いつかどこかへ飛び立つ日が来るのかもしれない。
でも今日は、もう少しここにいたい。
鳩たちが帰ってくるまで。
虹くりっぷ@虹色創作部さんの素敵なコラボ企画です。
動画そのまんまなのですが、エピソードにしてみました。
虹くりっぷ@虹色創作部さん、いつも素敵な企画をありがとうございます。
#AIart https://t.co/mAJZEbMrKx pic.twitter.com/1HxkCn2fHb
— Niji Clip@文学×動画 (@ClipNiji61128) August 15, 2025
🧡 スキ 🤝 フォロー 💬 コメント…のいずれかでもいただけたら、
とても励みになります
