小さな秋|青ブラ文学部
「そうだね。今度また。」
スマホに届いたメッセージはそれだけだった。
残暑が厳しい九月の午後。画面を見つめながら、私は小さくため息をついた。
三ヶ月前は、彼からのメッセージが毎日届いていた。長文だった。仕事のこと、見つけた面白い店のこと、私への気持ち。文字数制限など気にすることもなく、たくさんの言葉が届いた。
でも今は違う。
「おつかれさま」「そうだね」「また今度」
短い言葉だけが並んでいる。
忙しいのは分かっている。新しいプロジェクトが始まったと言っていた。そう自分に言い聞かせてみても、胸の奥はざわついている。
電車を降りて改札を抜け、駅前の街路樹を見上げる。緑色の葉が茂っている中に、端の方が少し黄色く色づいている。
昨日のデートを思い出してみる。会ったのは二週間ぶりだった。彼はいつものように優しかったし、手も繋いでくれた。
けれど会話は途切れがちだった。
私が話していても、彼は時々遠くを見ていた。
商店街を抜けると周囲は薄暗くなっている。先週まで明るかった時間に、もう。夕暮れが早くなっている。
季節は確実に進んでいる。
「水曜日に会えるかな」とメッセージを送る。
返事は、三時間後に来た。
「ごめん」
虫の音が静かに聞こえた。
夏の思い出に浸っていたい。まだ気づかないふりをしていたい。
でも、秋は静かに、確実に始まっている。
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