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肩たたき券丨肩たたき文芸部丨片想い文芸部

母の遺品を整理していて、古い手作りの「肩たたき券」を見つけた。 記憶にはないものだった。

小学生の私が画用紙に書いたものらしい、ひらがなで「かたたたきけん」と書いてある。カーネーションらしい花が描いてあるので、母の日のプレゼントだったようだ。

「いつでも つかえます」と書いてあるその下に、使用済みのハンコが押してある。 母はちゃんと使ってくれていたのだ。

思い出した。母が「肩がこった」と言うと、私は肩たたきをしていた。私は力が弱いうえに器用でもなかったので、あまり効果はなかったと思う。それでも母はいつも「気持ちいいわ」と言ってくれた。

中学の頃は、ふざけ半分に母にまとわりつき、肩たたきの真似事もした。 けれど高校生になってからは、そんなことも恥ずかしくなって、母の肩に触れることがなくなった。 大学で家を出てからは、顔を見る機会さえ減っていった。 社会人になって実家に帰った時も「肩たたきしようか?」とは言えなかった。 母の肩が随分小さくなっていることに気づいていたのに、それを認めることが怖かった。

母が病気になってからは、病院のベッドで背中をさすることがあった。でも、昔のような無邪気な肩たたきはできなかった。 その肩は小さいだけでなく、弱弱しかった。

手の中の古い肩たたき券は、一枚だけ使われずに残っている。 母はずっと待っていたのかもしれない。私にまた肩を叩いてもらうことを。

肩たたきでなくても、感謝を伝える方法はいくらでもあったのに。 遅すぎる後悔に私はその場を動けなかった。





ナルさんの片想い文芸部のスピンオフ用に書いたのに、投稿を忘れていました💦

お題を利用させていただくのは、あくまでもきっかけだから、と思っていますので締め切りは過ぎてますけど投稿致します。

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#片想い文芸部 #肩たたき文芸部
#共創 #ショートショート #肩たたき

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