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小さなサンタクロース|風まかせ文芸部|ひとりじゃない

「お母さん、サンタさんって本当はいないの?」
八歳の娘に聞かれた。

私は料理の手を止めた。
「どうして?」
「クラスで、サンタなんていないって言ってる子がいるの」
娘の目は潤んでいた。

何と答えればいいのだろう。

「お母さんは、いると思うよ」
「本当に?」
「うん」
私は頷いた。

「でも、大人になるとだんだん見えなくなるの」
「なんで?」
「どうしてかなぁ」

娘は一緒に首を傾げた。
「じゃあ、お母さんが最後にサンタさんを見たのはいつ?」
「もう覚えてないわ。でも、今でもいると信じてる」

娘は少し考えて、言った。
「じゃあ、私が会えたら、お母さんに教えてあげる」
「ありがとう」

クリスマス・イブの夜。
娘の寝顔を見ながら、枕元にプレゼントを置いた。

翌朝、娘は目を輝かせて起きてきた。
「お母さん、サンタさん来た!」
「本当? 良かったね」

娘は嬉しそうにプレゼントを開けて見せてくれた。

「お母さん、サンタさんね」
娘が言った。
「何?」
「小さかったよ」
私は驚いた。

「小さかった?」
「うん。夜中、目が覚めたの。そしたら、窓のところに小さいサンタさんがいた」
私は娘を見た。
「私に手を振ってくれたんだ」
娘は本気で言っている。

「お母さん、やっぱりサンタさんはいるんだね」
娘の笑顔に私は頷いた。
「そうかぁ。サンタさんに会えてよかったね」

窓の外では、雪が降っている。
娘が会った小さなサンタさん。 それはもちろん私ではない。

純粋な娘の心に、本物のサンタさんが応えてくれたのだろうか。
それとも、三年前に亡くなった夫から娘へのプレゼントだったのだろうか。

私は家族3人で過ごしたクリスマスを思い出していた。
(...だとしたら、私のところにも来て欲しかったな。メリークリスマス)





iさんの風まかせ文芸部にお世話になっています。


「ひとりじゃない」はこのnoteの独自企画で、シングルマザー・母子家庭の日常を描くシリーズです。

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