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華のないふたり|アマノ文筆クラブ

新郎新婦が笑顔で乾杯の音頭を取り、拍手が起こる。
華やかな店内。私はワインを飲みながら、二次会の会場を見回した。

私は新郎新婦と特に親しいというわけではない。
友人の一人として、声をかけられただけだった。

隅のテーブルに、中年の夫婦が座っていた。
夫は薄いグレーのスーツ、妻は茶色のワンピース。
華やかな服装ばかりのゲストの中で、二人だけがくすんで見えた。

新郎の友人たちが、大声で盛り上がっている。
新婦の同僚たちが、笑いながら写真を撮っている。
二人は周囲と話すわけでもなく、時々、顔を見合わせて、小さく頷く。
それだけだった。

少し気になった私は、同席していた友人に訊いた。
「あの二人、誰?」
「ああ、新郎の叔父さん夫婦だそうだよ。なんだか冴えないよね。」

興味なさそうにそういうと、彼は近くの笑いの渦に溶け込んでいった。
作り笑いを浮かべて私も友人にならった。

パーティーが進む。
新郎新婦が、各テーブルを回っていく。
私の視線は、あの夫婦のテーブルを追っていた。

「叔父さん、叔母さん、来てくれてありがとう」
新郎の言葉に、中年夫婦は穏やかに微笑んだ。

「おめでとう。幸せにね」 妻が言った。
その声は、優しかった。 夫は静かに頷いた。

新郎は、少し照れたように笑った。
「二人みたいに、ずっと仲良くいられたらいいな」
新婦は赤らめた頬で、新郎を見上げた。

そのやりとりに私は少し驚いた。

二次会が終わって、帰り道。 私は考えていた。

華やかな人たちと、あの夫婦。
新郎新婦が憧れたのは、華があるとはいえない二人の方だった。

長年連れ添った、静かな絆。
派手ではないけれど、確かなもの。

新郎新婦はそれを感じ取っていたのかもしれない。

夜道を歩きながら、私は二次会のいくつかのシーンを思い出した。
華がないのは、盛り上がっていた人たちの方なのかもしれない。

そして一番華がないのは...





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