私の空の旅|シロクマ文芸部
空の旅と言っても、飛行機が必要なわけではない。
私の空の旅は、ベランダのちいさな椅子に座って見上げることから始まる。
今日は薄い雲がかかって、少し曇っている空。でも雲の隙間から覗いているのは青空だ。
風が雲を運んでいく。そのまま私は、時間を忘れてしまう。
子どもの頃、空を見上げるのが好きだった。
雲の形を動物に例えたり、空の果てを想像したり。大人になって、そんな時間を持つことがいつしかなくなっていった。
でも最近、また空を見るようになった。
忙しい毎日に疲れた時、空を見上げていると心が落ち着く。
狭いアパートに住んでいても、空だけは果てしなく広い。
空は嫌なできごとも忘れさせてくれる。
上司に理不尽に怒られて、同僚との関係もぎくしゃく。すべてが嫌になってしまう。
でも、空を見ていると、そんなことはちっぽけに思えてくる。
雲がゆっくりと形を変えていく。さっきまで犬だった雲が、今は鳥になっている。
空の上に広がっているのは、きっと全く違う世界だろう。雲の向こうには、今は見えない太陽がいつものように輝いている。
私の悩みなど、空の隅っこさえも曇らせない。
私の小さな悩みも、小さな喜びも、空は全部受け入れてくれる。
ベランダでの短い空の旅を終えて、部屋に戻る。私は明日もまた、きっと空を見上げるだろう。
その時はどんな雲が、どんな青さが、私を迎えてくれるだろうか。
小牧幸助さんのシロクマ文芸部に参加させていただきます。
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