花柄のパジャマ|ひとりじゃない⑬|虹色創作部
目覚ましが鳴って三十分。まだパジャマのままでいる息子を見て、私はため息をついた。
「もう七時よ。保育園、遅刻しちゃう」
昨夜は残業で帰りが遅くなり、息子を寝かしつけてから家事を片付けた。気がつけば深夜一時。やっと少しまどろんだが、四時間しか眠れていない。
「はーい」
息子は返事だけするものの、相変わらず動こうとしない。
「早く着替えて。朝ごはんも食べなきゃ」
洗濯物をたたみながら、時計を見る。このペースでは絶対に間に合わない。会社の朝礼にも遅れてしまう。
昨日の出来事がよみがえる。このあとなんとかご飯を食べさせ、靴を履かせているときに、「ママ、うんち」と言われた。
「とにかく急いで」と声をかけようとしたとき息子が言った。
「ママ、これスキ」
下を向いて、自分が着ている花柄のパジャマを指差している。
男の子なのに、花柄がお気に入りだ。
「それがスキなのは、あなたでしょ」
「第一それパジャマじゃない。保育園にパジャマで行く子はいないの」
「かわいい?」
そう言いながら、息子がふっと顔をあげた。
満面の笑顔。歯がちらりと見える、屈託のない笑顔。
その無邪気さに、私のイライラは散り散りになった。
一人での子育て。確かに、時間はない。仕事もある。余裕をなんてカケラもみつけられない毎日。
でも、この笑顔のためなら、私は、今日も頑張れる。
「本当にかわいいね。でも保育園用のお洋服も、もっとかわいいよ」
「それに、会社に遅れるのはちょっどまずいのよね」そういう私に、
「そっかあ」と言いながら、息子はまた笑った。

虹色創作部のお題に応募します。イラストも利用させていただきました。虹くりっぷの晴さん、ありがとうございます。
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