本を買う理由|青ブラ文学部
書店で懐かしい小説を見つけた。
手に取りページをめくりながら、私はある人の言葉を思い出していた。
「本を借りるか買うか、それは結構大きな問題なんだよ。」
高校生の頃は、迷うことなく図書館に向かっていた。経済的な余裕はなかったし、読み終えた本を置く場所もなかった。
借りて読んで返す。それが当たり前だった。
本好きな人と付き合っていたことがある。自宅から大学に通う彼から、本を借りることも良くあった。多読、乱読タイプの人でいろいろなことを知っていた。彼のことを深く知るごとに彼の本に興味が湧いた。
彼のガイドで本を借りて読むと彼のことが一層好きになった。
けれどささやかな行き違いから別れて、そのままになった。
「面白そうだから読みたい、という本は借りればいい。何度も読み返したい本や、書き込みをしたくなった本は後からでも買って手元に置きたくなる。」彼はそう言っていた。
彼にとって私は、どんな存在だったのだろう。ずっとそばにいて欲しいと思ってくれたこともあったのだろうか。
手の中の本を見る。高校生の時に初めて読んだ本。彼から借りてもう一度読んだ本。この小説が気になるのは、その頃のことを思い出させるからかもしれない。
やっぱり買おう。そう決めてレジに向かう。
家に帰って本棚に置こう。そうしたら時々手に取るだろう。ページを開いて線を引いたりしながら。
彼は今頃、どうしているのだろう。相変わらず本に囲まれているのか、それとも家族と過ごしているのか。
本は確実に古くなっていく。でも、色あせない記憶もある。
山根あきら さんの青ブラ文学部に参加させていただきます。
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