雨上がりの水たまり|せりふ三題噺
雨上がりの商店街を、同じクラスの友人たちと歩いていた。 話に夢中になっていた私は、足元の大きな水たまりに踏み出していたことに突然気づいた。
「気をつけて」 そう言いながらよろめく私に手を差し伸べてくれたのは、近藤君だった。
「ありがとう」 私は彼の手を借りて水たまりを避けた。頬が少し熱くなる。 手は繋いだままだった。
「ねぇ、今度の土曜日の花火大会、よかったら一緒に見に行かない?」
近藤君が私の方を見ずに言った。
突然の誘いに、私は戸惑った。今度は心がよろめく番だった。 嬉しい気持ちと、恥ずかしい気持ちが混ざり合う。
「お、お断りします」
咄嗟に出てしまった言葉だった。なぜそんなことを言ってしまったのだろう。 私は瞬時に後悔していた。
近藤君の表情が曇ったのは、横顔からでもわかった。 「そうか...」
私の手を離した彼に、私は慌てて声をかけた。 「あの、でも!」
近藤君が振り返る。
「花火の前に、駅前のラーメン屋さんに一緒に行ってくれるなら...」
「本当?じゃあ、駅に6時で良い?」
私はこくりとうなずいた。
水たまりを避けるためにつかんだ手は、思いがけない約束に繋がった。 振り向いて見た水たまりは、雨上がりの空を映している。
水たまりに向かって、私は小さく呟いた。
「ありがとう」
はらとけいさん、いつもありがとうございます。
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