一人、眠れぬ夜|シロクマ文芸部
眠れない夜がある。
若い頃は、不安や後悔ばかりが原因だった。
年を取るにつれて、それは少しづつ変わってきた。
けれど還暦が近くなった今も、眠れない夜がある。
娘から届いたメッセージを、もう一度開く。
「来年の春、おじいちゃんになるよ」
送り先を間違えたのだろうか、おばあちゃんの誤字だろうか。
隣で夫は大きないびきをかいている。
飲み会から帰ってくるなり、私の話も聞かずに寝てしまった。
むりやり起こしてやろうか。
わざと朝まで知らせないでおこうか。
天井を見つめたまま、私はまだ眠れない。
小牧幸助さんのシロクマ文芸部に参加します。
