おだやかに生きたい
コーヒーの湯気をぼんやりと見ていた。
誰が、言ったんだっけ。
「おだやかに生きたいですね」
いや
「おだやかに生きたいです」
だったか?
祖母だったか。 いや、 友人だったか。
いつ、誰が言ったのかはっきりしない。
でも、その言葉だけは、覚えている。
「おだやかに生きたい」
そう言われた時に、
私は、反射的に応えたような気がする。
「そうですね」
でも、私は本当にそう思っているのだろうか。
刺激を求めているわけではないのに、
刺激に慣れてしまった。
毎日が、慌ただしい。
仕事に追われて、人間関係に疲れて。
しっかりと、じっくりと、
そう思うそばから日常は崩れていく。
「おだやかに生きたいですね」
そう言った人は、今、 どうしているだろう?
外は静かに雨が降っている。
コーヒーの温もりが心地よい。
こういう日が、続けばいい。
「そうだね」
心の中で、私は誰かに答えている。
この作品は、アマノ文筆クラブのお題「本日は人柄もよく」からの派生作品です。 主催の甘野充さんのコメントからインスピレーションを得ました。
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なくても、穏やかに生きることはできるはず。
