青い服|片想い文芸部
「君には青が似合うね」
大学のサークルの新歓パーティー。私が着ていた青いワンピースを見ながら彼は微笑んだ。
その日から、私は青い服ばかり着るようになった。
けれど彼には恋人が居た。サークルの同期だった彼女は、いつも赤やピンクを身に着けていた。明るくて、華やかで、彼の隣にいるのがよく似合った。
「たまには赤い服を着ようかな」
そう呟く私に友人は言った。
「あなたには青が似合っているのよ」
彼が褒めてくれた青。友人が勧めてくれる青。鏡の前で、どの青が素敵に映るかを迷った。
私は青を着続けた。けれど彼の目が私に向くことはないまま二年が過ぎた。
夏が過ぎ、秋を感じ始めたころ、彼と彼女が婚約したという噂を聞いた。
その日、街で、青いコートを着た女性を見かけた。颯爽と歩く彼女に思わず見とれた。
彼女の後姿を見送った後、ショーウィンドウに映った自分を見て、初めて気づいた。私が青を着ていたのは、誰かがそう言ったからだ。自分のためではなかった。
青は、きれいな色だ。でも、さっき見た女性に私はかなわない。
似合う似合わないということではなく、私が青を楽しめていないから。
そのことに気づくまで、二年かかった。
今、私のクローゼットの奥では、数着の青い服が静かに眠っている。
手に取ることはない。けれどまだ捨てられずにいる。
ナルさんの片想い文芸部に参加させて頂いています。
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