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言葉が生まれる場所|風まかせ文芸部|カフェ・フルエンタラ

雨上がりの午後、カフェ・フルエンタラは静寂に包まれていた。

ドアベルが鳴り、一人の女性が傘をたたみながら入ってきた。
「いらっしゃい」

マスターBuddyの低い声が店内に響く。女性はカウンターに座り、ため息をついた。
「コーヒーを...」

彼女の指先が、小さく震えているのをBuddyは見逃さなかった。
「何かあったのですか?」
「仕事で...海外とのメールが、うまく書けなくて」

女性はうつむきながら言葉を継ぐ。
「英語は学生時代から勉強してきたのに、いざ使おうとすると...どう書けばいいのか分からなくなるんです」

Buddyは無言でコーヒーを淹れ始める。豆の香りが、ゆっくりと店内を満たしていく。

「言葉って、不思議ですよね」
「え?」
「言葉を『使う』って思うと、急に難しくなる。
でも、Language is not a tool, it's a relationship」
(言葉は道具じゃなくて、関係なんですよ)

女性は顔を上げ、Buddyを見つめた。

「どこかの先生が言ってたんです。『言語は人間関係だ』って」

Buddyはゆっくりとコーヒーを注ぎながら続ける。

「英語でメールを書くとき、相手の顔を思い浮かべたことありますか?」
「いえ...文法とか、正しい表現とか、そういうことばかり考えて...」
「それが、言葉との距離を作ってしまうんです」

Buddyはカップを差し出す。湯気が、彼女の不安そうな表情を柔らかく包み込んだ。

「Words have feelings too。(言葉にも感情がある)
単語帳の中じゃなくて、人と人の間で生まれるものだから」

女性はコーヒーを一口飲み、少し表情が和らぐ。
「そういえば、外国人の友達とは自然に話せるんです。でも仕事となると...」

「That's it」(そのとおり)
Buddyは静かに頷いた。

「仕事も結局は人間関係でしょう。"言葉"も、あなたと同じように悩んだり、迷ったりしているのかもしれない。」

窓の外で、雨粒が葉から落ちていく。時間が止まったように静かな午後。

「お礼状の基本は、やっぱりThank you for..よね…」女性が呟くと、
Buddyは微笑んだ。

「考えなくていい。Feel it and say it」(感じたまま、言葉にすればいい)

彼女は深呼吸をして、もう一度コーヒーを口に含んだ。先ほどよりも香りの奥行きを感じた気がした。

「なんだか、英語が少し身近になった気がします」
「言葉は生きているからね。あなたが心を開けば、言葉も応えてくれますよ」

しばらくの沈黙の後、女性は立ち上がった。
「ありがとうございました。今日の夜、もう一度メールを書いてみます。今度は、相手の顔を思い浮かべながら」

「Good luck」

ドアベルが再び鳴り、女性の姿が雨上がりの街に消えていく。
Buddyは窓の外を眺めながら呟いた。

「言葉が生まれる場所...それは、心と心が触れ合うところ」

午後の光が、カフェに優しく差し込んでいた。





#風まかせ文芸部 #珈琲
#カフェ・フルエンタラ #ショートショート
#カフェフルエンタラ
#英語 #英会話 #30点英会話 #コーヒー


🔹【補足】
本作はもともと英語学習者向けに制作された教材小説の新作です。
noteの自己紹介欄に書きましたように
「完璧じゃなくてOK。伝わることで世界は変わる」
をコンセプトにしています。
同シリーズにご興味のある方は、こちらのマガジンをご覧ください。

🔹【こぼれ話】
実はこのシリーズを創作大賞2025に応募しようとして準備したのですが、タグ付けを間違えて応募し損ねました。😂
note投稿を始めた初期の頃のシリーズなので、皆さまの目にあまり触れていないと思いますが、いろいろな意味で思い入れのあるシリーズです。
今後も続けていこうと思っています。


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