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白紙の成人|風まかせ文芸部

成人の日。
案内が届いていた成人式には、行かなかった。
普段と変わらない休日。

夜、親父に呼ばれた。
親父は黙って僕に古い封筒を差し出した。

「何?」
「開けてみろ」
親父は言った。

中には、一枚の白紙が入っていた。
真っ白な紙。年月を経たものらしく少し黄ばんでいる。

「これ、何?」
僕は聞いた。
「俺の親父、つまりお前のおじいちゃんが俺にくれたものだ」

戸惑った僕は、改めて白紙を見つめた。
本当に何も書いてない。

「何なの?これ」
「俺にも分からない」
親父の言葉に僕は困惑した。

「俺が二十歳になったときに、親父がくれた。
誕生日祝いだと言って。」
僕は親父の顔を見た。

「俺も親父に何度か聞いてみたんだ。そのたびに答えは違った。
あるときは、ラブレターを書いて消したのだと言った。
あるときは、退職願を出すつもりだったんだと言った。」

「どちらにしても、残しておいても意味ないよね」
そういう僕に親父は言った。
「他人にはな」

祖父は、この白紙をずっと持ってたのか。
それとも親父への謎かけだったのだろうか?
その疑問を親父にぶつけてみた。

親父は僕に言った。
「自分で考えてみろ。
俺も、時々これを取り出しては考えて来た。
お前にやる」

僕は自分の部屋に戻った。 改めて白紙を見つめる。
果たして今の話は本当だったのだろうか。

この白紙は、祖父の消えた想いの名残だったのか。
未来への決意だったのか。
祖父から親父、親父から僕へ託されたメッセージなのか?
親父独特の冗談か。

封筒に戻したその白紙は、今も机の一番上の引き出しにある。





iさんの風まかせ文芸部にいつもお世話になっています。
今回の企画お題は「白紙」。



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次第で、白紙に物語が綴られていきます。


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