無限の尾│毎週ショートショートnote
公園のベンチに座っていた。三毛猫が自分の尻尾を追いかけている。
くるくると回り続ける姿を見ていたら、なんだか自分のことのように思えてきた。
私も同じだ。仕事で成果を上げれば、次の目標が現れる。恋人ができれば、結婚を考える。結婚すれば、子供が欲しくなる。
永遠に続く、自分の尻尾追い。無限の尾。
「可愛いですね」
隣に座った男性が言った。
「そうですね。でも、捕まえられるんでしょうか、自分の尻尾って」
「さあ、どうでしょう。でも、きっと捕まえたら飽きちゃうんじゃないかな」
そうかもしれない。
猫は突然、尻尾追いをやめて毛づくろいを始めた。まるで「そんなこと、どうでもいいや」とでも言うように。
「案外、猫の方が賢いのかもしれませんね」
男性が微笑んだ。
私も微笑み返した。
追いかけることをやめた時、別の何かが始まるのかもしれない。猫のように、今この瞬間を大切にすることから。
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