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秋雨|恋人になれない

「全くこの雨には嫌になる」
彼がそう言ったとき私は少し驚いた。

久しぶりの休日。紅葉の中のデート。
途中から降りだした秋の雨は、夏のわずかな名残を惜しむかのように優しかった。
二人は言葉少なに雨の中を歩いた。気持ちが通じ合っているようで嬉しかった。

足を休めるために入った静かな喫茶店。
店内にはまばらな客。二人の時間を感じていた。

「楽しい曲でも流してくれれば良いのに」
その言葉に私は彼の表情を伺う。少しいらだっているように見えた。

彼と私は、同じひとときを過ごしたのに、違うものを感じているのだと気づいた。
それは価値観の違いというより、感覚の違いのように思えた。
男と女の違いなのだろうか。

「天気予報をちゃんと確認してから来ればよかったね」
彼が私を気遣おうとしてくれていることは伝わってきた。

「そんなことないよ。素敵な一日だった。」
私は心からそう思っていた。今度は彼が驚いた。

「君って人は・・・。良くわからないな」
そう言って彼は、小さく首を振った。

駐車場に向かって歩きながら、彼は振り返らずに少し足を早めた。私は小走りにその後を追った。

帰りの車の中で、二人はほとんど言葉を交わさなかった。

雨はウィンドウガラスをたたき続けていた。





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