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片栗粉のとろみ|片想い文芸部

片栗粉を水に溶かしながら、私は彼の横顔を見つめていた。

「もう少し混ぜて。ダマにならないように」
先生の声が響く。

料理教室で隣になったのは偶然だったけれど、三回目の今日。実はもう偶然じゃない。彼がいる班を選んでいる。

「あんかけ焼きそば、美味しそうですね」
そう言いながら、私は慎重にかき混ぜていく。熱いスープと混ざった片栗粉が、少しずつ透明になっていく。

「上手だね。料理、得意なの?」
彼の何気ない質問に、胸がドキドキした。
「普通です。でも、とろみをつけるのは好きです」
気の利いたことを言おうとしたのに、口から出たのはおかしな言葉だった。

「とろみかぁ。確かに、あるとないとじゃ全然違うよね」
彼は笑いながら、野菜を炒めている。

そう、とろみがあると味がよく絡む。でも私たちの関係には、まだとろみはついていない。サラサラとしたひとときの会話。


「できました」
私が声をかけると、彼が振り返った。
「わあ、本当に美味しそう。今度、家でも作ってみよう」

その時、ふと思った。片栗粉は最初白く濁っているけれど、熱を加えれば透明になる。私の想いも、もしかしたら...

「今度、良かったら一緒に作りませんか?」
思いきってそう口に出した。彼は屈託ない笑顔で返してくれた。
「いいね。じゃあ、今からその作り方、教えてもらえる?」

想いは正しくは伝わらなかったけれど、彼の笑顔に、私の心の、とろみが増した。






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