あざとい彼女|片想い文芸部
男の人は知っているんだろうか?
男性の言う女性らしいと女性からみた女らしさは明らかに違う。嫉妬しているから言うわけじゃないけれど、彼女のことを素敵だとはどうしても思えない。
彼女を見ていると、いつも複雑な気持ちになる。
「課長、これ分からないので教えてもらえませんか?」
上目遣いで甘えるような声。書類を渡すときの、さりげない手の触れ合い。困ったような表情で首をかしげる仕草。
全部計算されている。
でも、効果的だ。男性社員たちは皆、彼女に優しい。私が同じ質問をしても「自分で調べて」で終わるのに、彼女なら丁寧に教えてもらえる。
「ずるい」
そう思いながらも、実は羨ましくて仕方がない。
私にはできない。甘えるなんて、恥ずかしくて無理。困った顔も、上目遣いも、どうやったらいいのか分からない。
自己弁護にすぎないかもしれないが、そんなの私らしくない。
でも、もしできたなら。
もし私があざとくなれたなら、彼は振り向いてくれるだろうか。
彼は真面目で誰にでも優しい。私は、みんなの中の1人。私が資料を渡すとき、ちゃんと「ありがとうございます」と言ってくれる。でも彼女とは、笑顔でいつまでも会話している。
「彼女って、モテるよね」
休憩室で同期の友人が言った。
「そうね」
私は曖昧に答えた。
「でも、ちょっとあざといと思わない?」
頷きたい思いにかられながらも、私は何も答えられなかった。
あざとい。
きっとそうなのだろう。でも、あざとくても愛されるなら、それは一つの才能じゃないだろうか。
素直に甘えられる人が羨ましい。計算だとしても、それを自然にみせられるなら。
窓際で彼が彼女と話している。
私はそれを遠くから見ている。いつものように。
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