ショートどうだ!?丨アマノ文筆クラブ
背番号「6」が、思っていた以上に重い。
夏の大会直前、監督に「ショートどうだ!?」と声をかけられたとき、俺は自分の耳を疑った。 それまでの俺は、外野の控え。 足にはそこそこ自信があったが、バッティングはからっきし。 内野の花形であるショートなんて、俺には縁のない場所だと思っていた。
「お前は、誰よりも周りを見ている。派手なプレーはいらん。泥臭くていい、確実に一塁へ繋いでみろ」
それから俺は、来る日も来る日もノックを受け続けて予選に臨んだ。
予選の初戦。
かろうじて一点リードして迎えた九回裏、ツーアウト満塁。カウントは2-3。ここまでの俺は良いところがなかった。相手もチームメートも相当疲れている中、せめて声だしだけは負けまいと思っていた。
バッターの一振り。三遊間を抜けるかという鋭い当たり。
無意識に体が動いていた。泥にまみれながらの捕球。必死に起き上がり、一塁へ投げた。
審判の「アウト!」という声に、思わずガッツポーズが出た。
試合後、ベンチの隅で泥を落としている俺に、監督がニヤリと笑って言った。
「ショート、どうだった?」
俺は汗を拭いながら答えた。
「…最高でした。ショートだなんて。とても長い試合でしたけど」
甘野充さんの、アマノ文筆クラブに参加します。
#アマノ文筆クラブ
#天野充
#ショートショート
#共創
#ショートどうだ
#小説
#短編小説
#高校野球
#青春
#部活の思い出
