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図書館|片想い文芸部

彼がいつも借りる本のジャンルを、私は覚えてしまった。

図書館でアルバイトを始めて半年。彼はいつも同じ場所に座って本を読んでいる。カウンターから見える閲覧席。 ありがとう。私から見える場所に座ってくれて。

経済学、経営学、時々小説。真面目な人なんだろうな。 話しかけたことはない。返却の時に「ありがとうございました」と言うだけ。 それでも、彼が来る火曜日と金曜日の午後を、私は待ち切れなくなっていた。

ある日、彼が借りようとした本が貸出中だった。
「申し訳ございません。予約をお取りしますか?」
「そうですね...他に何かおすすめはありますか?」
突然の質問に、私の心臓はときめいた。 おすすめを聞かれるなんて。

でも私にはわかっている。彼が好きそうな本が。
「こちらはいかがでしょうか」 私が差し出したのは、新しく入荷したビジネス書。彼の読書の傾向からして、きっと気に入ってもらえるはずだ。

「あ、これ読みたかったんです。」 彼の笑顔を見た瞬間、胸がふわっと軽くなった。


次の週、彼が返却に来た時、小さなメモが本に挟まっていた。 「おすすめありがとうございました。とても面白かったです」 私は顔が熱くなるのを感じた。体温まで上昇した気がした。

それから、彼は時々私におすすめを聞いてくれる。私も彼の好みを考えながら本を選ぶのが楽しくて仕方がない。

図書館という空間で、本を通じて二人は静かに繋がっていく。
交わす言葉は本のことだけ。

でも、そこには生まれているものが確かにある。
これは、きっと、図書館の魔法。







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