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古本を読む|シロクマ文芸部

古本を手にすると、前の持ち主のことをつい考えてしまう。
この小説も、誰かが読んでいたものだ。薄い鉛筆の線が引いてあるページがいくつかある。

その人はどんな気持ちでこの線を引いたのだろう。共感したのか、疑問に思ったのか。

私も鉛筆を片手に読み進める。

私が引く線と前の持ち主が引いた線。同じ個所の時もあれば、意外なところに引かれているものもある。

「涙は言葉にならない感情のあらわれである」
そんな一文に線が引かれている。何かを思い出したのだろうか。覚えておきたいと思ったのだろうか。

顔を近づけると古い紙の匂いに混じって、ほんの少し香水のような香りがする。女性だったのかもしれない。
どんな人だったのだろう。何歳くらいの人だったのだろう。

なぜこの本を手放したのだろう。引っ越しで荷物を整理したのか、本棚がいっぱいになったのか。それとも、もう読み返すことはないと思ったのか。

誰かに読まれた本には、その人の時間が溶け込んでいるような気がする。

見知らぬ誰かとの読書会を終え、本を本棚に戻す。

未来の私はこの本を読み返す時に何を思うだろう?
それとも再び古本屋を経て、誰かがこの読書会を引き継いでくれるだろうか。





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