馬?丨風まかせ文芸部
馬房の前に立つ。
柵の向こうに、栗毛の馬。
「乗りますか?」
スタッフの声。
「いえ、今日は見ているだけで」
私は答えた。
馬が、私を見ている。
いや、目を向けているだけなのかもしれない。
何を考えているのだろう。
人を乗せて走ることを、
この馬は、どう思っているのだろう。
幸せなのだろうか。
それとも、ただ従っているだけなのか。
子馬の頃から、人を乗せるように育てられ。
鞍を置かれ、手綱を引かれ、
走ることを教えられた。
それが当たり前だと、思っているのだろうか。
私は、柵に手を置いた。
馬が、ゆっくりと近づいてくる。
鼻先を伸ばして、私の手に触れる。
温かい。
柔らかい。
「乗りますか?」
また、スタッフの声。
「……いえ」
馬が、じっと私を見る。
何を求めているのだろう。
人参か。
撫でてもらうことか。
それとも、何も求めていないのか。
私は、そっと馬の首を撫でた。馬は、目を細めた。
気持ち良さそうに。
しかし、本当にそうなのだろうか。
人間が勝手に、自分に都合よく、そう思っているだけかもしれない。
風が吹いた。
馬は、耳を動かした。
「…ありがとう」
私は、小さく呟いた。
馬は、そこに立っている。
黙って、私の隣に。
iさんの風まかせ文芸部にいつもお世話になっています。
今回の企画お題は「馬」。
#風まかせ文芸部 #馬
#共創 #ショートショート
#私の作品紹介 #AI小説
🧡 スキ 🤝 フォロー 💬 コメント
黙ってお待ちいたします
