夏バテの午後|片想い文芸部
夏バテで何も手につかない日が続いている。 食欲もない。考えもまとまらない。
そんな時に、彼から届いたショートメッセージ。
「明日、映画でも見に行こうよ」
「ごめんなさい。体調がすぐれないので、また今度」
そう返事を送って、すぐに後悔した。
彼からの誘いを断るなんて、普段の私なら絶対にしない。 けれど、だるい体を引きずって出かけて、つまらなそうな顔をしてしまう自分を見せてしまうのは嫌だった。
土曜の午後。強い日差しを避けて、カーテンを閉める。薄暗い部屋で横になりながら、私は考えていた。
映画館で彼の隣に座って、手が触れるかもしれない距離にドキドキして。 その後カフェで、映画の感想を語り合って。
そんな想像をしかけて溜め息つく。
彼の前では、最高の自分でいたいと思う。でも今日の私は、夏バテで頭がぼんやりして、食べ物の匂いに気持ちが悪くなったりしている。 そんな私を彼が好きになるはずもないだろう。
スマホの通知音。見ると、彼から返事が来ていた。
「お疲れさま。体調はどう?また、今度ね。」
さっき自分が送った返信に、改めて後悔した。
でも、彼の優しさには特別な意味はないのかもしれない。ただの思いやり。 今の私は、きっと判断力が鈍っている。勘違いをしかけている自分が嫌になった。
夏バテが心底恨めしかった。
ナルさんの片想い文芸部に参加させて頂いています。
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