好き化粧|毎週ショートショートnote
おばあちゃんが、鏡の前に座っていた。
「どうしたの?」
私が聞くと、おばあちゃんは笑った。
「ちょっとね、お出かけするの」
「どこへ?」
「おじいちゃんに会いに行くのよ」
おじいちゃんは、去年、亡くなった。
「お墓参り」
そう言っておばあちゃんは、口紅を塗った。
頬に、チーク。眉を、整えた。
久しぶりに見る、おばあちゃんの化粧。
「おばあちゃん、綺麗」
「ありがとう。」
私はしばらくおばあちゃんに見とれていた。
おばあちゃんは、鏡の中の私を見ながら、微笑んだ。
「これはね、好き化粧っていうのよ」
「飾るためでも、隠すためでもない。
好きな人に会うための心構えの時間なの」
おばあちゃんは、立ち上がった。
背筋を伸ばして、前を向いたその姿は
いつにもまして若く見えた。
「行ってくるわ」
「うん、いってらっしゃい」
玄関で、おばあちゃんを見送った。
好きな人に会うために心を整えて出かける。
そんな日が私にもあるだろうか。
田原にかさんの企画に参加させていただきます。
お題は「好き化粧」
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私の場合、作品を投稿する前に、
好き化粧の時間が必要なのかもしれません。
皆さんの
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