回ってるのは、洗濯機だけでよかった。
深夜のコインランドリーは、
少しだけ人間に優しい。

誰も急かさないし、
誰も評価してこない。
洗濯機の回る音だけが、
静かに時間を進めていく。
昼の街では、
「ちゃんとしなきゃ」が多すぎる。
ちゃんと働いて、
ちゃんと返事して、
ちゃんと笑って、
ちゃんと生きる。
でも、
疲れてる日は、
その“ちゃんと”が重たい。
コインランドリーの椅子に座って、
ぼんやり回る洗濯機を見ていた。
洗いたいのは服じゃなくて、
今日の自分だったのかもしれない。
誰かの期待とか、
比較とか、
通知とか。
ぐるぐる回って、
少し薄まって、
乾燥まで終わるころには、
少しくらい軽くなっていたらいいのに。
深夜料金は+100円。
でも、
静かにしていられる場所って、
たぶんそれくらいの価値がある。
帰り道、
コンビニで買った甘いカフェオレが、
やけに優しかった。
今日も、
なんとか生き延びた。
それだけで、十分だと思う。
