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その業務改善、順番を間違えると成果が止まる。「業務改善の4つの能力」を現場で使う方法


はじめに:改善しているのに、なぜ成果が続かないのか


「業務改善をやっています」
そう聞くと、何となく前向きに聞こえます。

・会議時間を短くする。
・Excel作業を自動化する。
・マニュアルを整える。
・問い合わせ対応をテンプレート化する。

どれも大事ですね。
ただ、現場でよく起きるのは、こういう状態です。

・改善したはずなのに、数カ月後には元に戻っている
・一部の部署だけ便利になり、他部署には広がらない
・ツールを入れたのに、結局使われない
・改善活動が「担当者の頑張り」で止まってしまう

つまり、改善そのものが悪いのではありません。
順番を間違えているのです。
業務改善には、積み上げるべき4つの能力があります。
それが、
・発見能力
・改善能力
・整合能力
・変革能力
です。
この4つは、好きなところから始めればよいものではありません。
順番通りに体得していくことで、改善は「一時的な工夫」から「成果が続く仕組み」に変わります。

1. 最初に必要なのは「発見能力」:ムダに気づけなければ、改善は始まらない

業務改善で最初に必要なのは、問題を解く力ではありません。
問題を見つける力です。
たとえば、毎日こんな作業をしていないでしょうか。

・同じ内容をExcelに何度も転記している
・メールを探すだけで5分使っている
・会議のたびに資料を作り直している
・承認状況を人に聞かないとわからない
・紙の申請書を見ながらシステムに入力している

1回だけなら小さなムダです。
でも、1日10分のムダがあるとします。
月20営業日なら200分。
年間では2,400分です。
つまり、年間40時間です。
時給換算で3,000円なら、1人あたり年間12万円分の時間が消えています。
5人なら60万円。
10人なら120万円です。
しかもこれは、たった10分の話です。
業務改善の第一歩は、いきなりツールを入れることではありません。
まず「どこで時間が溶けているのか」を見つけることなのです。

2. 次に必要なのは「改善能力」:一度直して終わりにしない

問題を見つけたら、次は改善です。
ここで多くの人がやりがちなのが、「その場しのぎ」です。
たとえば、

・入力ミスが多いから、注意してくださいと伝える
・資料作成が遅いから、早めに着手してくださいと言う
・問い合わせが多いから、担当者を増やす
・Excelが重いから、新しいファイルを作る

これらは一見、対応しているように見えます。
でも、根本的にはあまり変わっていません。
本当に見るべきなのは、

「なぜ、その作業が発生しているのか」
「なぜ、同じミスが繰り返されるのか」
「なぜ、人に聞かないと進まないのか」

です。
改善能力とは、見つけた問題を小さく直し、結果を見て、また直す力です。
完璧な仕組みを一発で作る必要はありません。
むしろ、最初は小さくてよいのです。

・申請書の入力項目を3つ減らす
・よくある質問を1枚にまとめる
・ファイル名のルールを決める
・毎週10分だけ振り返る
・手作業の一部だけをVBAやGASで自動化する

こうした小さな改善を、日常の中に入れていくことが大切です。
改善はイベントではありません。
習慣にして初めて、現場の力になります。

3. その次に必要なのは「整合能力」:現場の改善を会社の成果につなげる

現場で改善が進むと、次に起きる問題があります。
それは、改善がバラバラになることです。
A部署では便利なExcelを作った。
B部署では別の管理表を作った。
C部署では独自ルールで進めている。
それぞれは頑張っています。
でも、全体で見るとどうでしょうか。

・同じような資料を別々に作っている
・部署ごとに項目名が違う
・データを集計するたびに加工が必要
・他部署に展開できない
・改善が個人のスキルに依存している

これでは、せっかくの改善が会社全体の成果につながりません。
ここで必要になるのが、整合能力です。
整合能力とは、日々の改善を全体の目的とつなげる力です。
たとえば、改善する前にこう問いかけます。

「この改善は、何のためにやるのか」
・残業を減らすためか
・ミスを減らすためか
・顧客対応を早くするためか
・売上につながる時間を増やすためか
・新人でも迷わずできるようにするためか

目的がはっきりすると、改善の方向がそろいます。
さらに、うまくいった改善は他部署でも使える形にします。

・手順を1枚にまとめる
・テンプレート化する
・入力項目を統一する
・ファイルの保存場所を決める
・自動化した処理の使い方を残す

現場の小さな改善を、全体で使える資産に変える。
これが整合能力です。

4. 最後に必要なのは「変革能力」:今のやり方を前提にしない

発見し、改善し、全体にそろえる。
ここまでできると、業務はかなり良くなります。
ただし、環境が変わると、それだけでは足りないことがあります。

たとえば、
・顧客が紙ではなくWeb申請を求めるようになった
・人手不足で、今まで通りの確認体制が組めなくなった
・AIや自動化ツールが当たり前になった
・取引先とのやり取りがオンライン中心になった
・スピードへの期待値が大きく変わった

こうなると、既存業務を少し直すだけでは追いつきません。
必要なのは、業務の前提を見直すことです。
「この帳票は本当に必要か」
「この承認は本当に人が見るべきか」
「この入力は最初から発生させない方法はないか」
「お客様に書いてもらった情報を、そのまま社内処理に使えないか」
変革能力とは、今ある作業を効率化するだけでなく、そもそものやり方を変える力です。
ここで大事なのは、いきなり大改革を目指さないことです。
現場では、次のような小さな変革からで十分です。

・紙の申請をGoogleフォームに変える
・メール受付を専用フォームにする
・Excel集計をスプレッドシートで共有化する
・定型レポートを自動作成する
・問い合わせ履歴を一元管理する

大切なのは、「今の作業を速くする」だけで終わらないことです。
「その作業自体を減らせないか」
「人が判断する部分と、機械に任せる部分を分けられないか」
ここまで考えられると、業務改善は次の段階に進みます。

まとめ:業務改善は「便利ツール導入」ではなく、能力の積み上げです

業務改善というと、ついツールや手法に目が向きます。
RPAを入れる。
VBAで自動化する。
GASで通知する。
AIを使う。
マニュアルを整える。
もちろん、どれも役に立ちます。
でも、それだけでは成果が続きません。
大切なのは、次の順番です。

・まず、ムダに気づく
・次に、小さく直す
・その次に、全体の目的とそろえる
・最後に、今のやり方そのものを見直す

この順番を飛ばすと、改善は一部の人の頑張りで止まります。
逆に、順番通りに積み上げると、現場の小さな工夫が会社全体の力になります。
まずは、今日の仕事の中から探してみてください。
「毎日10分だけ、なんとなく失っている作業」はありませんか。
そこが、業務改善の入口です。
大きな改革でなくて大丈夫です。
目の前の10分を取り戻すことから、十分に始められます。

プロフィール


DX・業務効率化エバンジェリスト。専門用語を徹底的に噛み砕き、初心者でも直感的に理解できる言葉で本質を伝えるスタンスで活動中。RPA、VBA、GASなどを活用し、現場の「ちょっとした不便」を解消する支援を行う。

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