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「独立すれば自由になれる」と思っていた私は、社長になって一番不自由な社員になった

独立する前、私が思い描いていた「社長」は、こうでした。

好きな時間に起きて、好きな仕事だけ選んで、休みたい日に休む。上司なし、通勤なし、会議なし。自由。

で、実際に会社を作って数年やってみて、分かったことがあります。

私は、人生で一番よく働く社員を一人、雇ってしまった。

自分です。しかもこの社員、辞めさせられません。

「休んでいい」のに、休めない

会社員の頃、休日は本当に休みでした。日曜の夜が憂鬱だったとしても、土曜の朝は自由だった。仕事のことを考えなくても、給料は減らない。

独立すると、これが逆転します。

休んでいい。誰も何も言わない。でも、休んだ分だけ、何も進まない。

売上も、仕込みも、発信も、全部止まる。誰も代わりにやってくれない。だから休みの日も、頭のどこかで仕事が回り続ける。風呂でも、布団でも、家族との食事中でも。

会社員時代は「働かされている」と思っていました。今は誰にも働かされていないのに、**あの頃より働いています。**しかも自主的に。これが一番タチが悪い。

「好きな仕事だけ選べる」の現実

独立前の想像:嫌な仕事は断って、好きな仕事だけやる。

現実:好きな仕事の周りに、無数の「誰もやってくれない仕事」が付いてくる。

請求書の発行。経理の仕訳。契約書の確認。銀行とのやり取り。備品の購入。パソコンの不調対応。全部、自分です。

会社員の頃、これらは全部「どこかの部署」がやってくれていました。総務、経理、法務、情シス。あの人たちが支えてくれていたから、私は「自分の仕事」だけをしていられた。

独立とは、全部署を一人で兼任することでした。社長業は、その合間にやる。求人票には書いていなかった。

一番想定外だったのは「決める疲れ」

体力的な忙しさは、覚悟していました。想定外だったのは、別の疲れです。

決断疲れ。

会社員の頃、大きな決断は年に数回でした。転職するか、家を買うか。それ以外の日々は、誰かが決めた枠の中で動いていればよかった。

社長になると、毎日が決断です。この案件を受けるか。この価格でいいか。この経費は使うべきか。この物件は買いか。どれも正解がなく、間違えたら自分に返ってくる。

一つひとつは小さくても、**決めるという行為は、確実に体力を削ります。**夕方になると、夕飯のメニューすら決めたくない日がある。決断力という筋肉が、その日の分を使い切っている。

以前「無音」の話を書きましたが、あれと根っこは同じです。誰も決めてくれない自由は、全部を自分で決める義務とセットで届く。

それでも会社員に戻りたいかと言われると

ここまで散々書いておいて、なんですが。

戻りたいとは、一度も思ったことがありません。

矛盾しているようで、していません。整理すると、私が独立して手に入れたのは「楽」ではなく、**「納得」**でした。

忙しい。休めない。決め疲れる。でも、そのすべてが自分で選んだ結果です。理不尽な指示で疲れるのと、自分の選択で疲れるのとでは、同じ疲労でも質がまったく違う。後者は、不思議と腹が立たない。

独立前の私は「自由=楽になること」だと思っていました。実際の自由は、**「しんどさの種類を自分で選べること」**でした。楽にはならない。でも、納得はできる。

「不自由な社員」を、少しずつ楽にする

とはいえ、納得だけでは体がもちません。だから私は、この数年、「一番不自由な社員(自分)」の労働環境を改善する努力をしてきました。

このnoteで書いてきたことは、実は全部その話です。

雑務はAIに渡す。会社の説明書を作って、指示の手間を減らす。判断に迷ったら壁打ちする。決断のルールを事前に決めて、「決める疲れ」を減らす。話せる相手(税理士、同じ立場の人、AI)を意図的に持つ。

つまり、自分という社員に、部署と相談相手と業務マニュアルを与えていく作業です。独立した日の私は、何も持たない新入社員でした。数年かけて、ようやく「働ける環境」が整ってきた。

会社員から独立を考えている人に伝えたいのは、「やめとけ」ではありません。「自由」の中身を、事前に正しく知っておいてほしいということです。

自由とは、楽ではない。全部自分で決められて、全部自分で決めるしかなくて、その全部に納得できる働き方。

それが割に合うと思えるなら、こちら側は、なかなか悪くないですよ。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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一人で会社をやっていると、聞ける相手が本当にいません。だからこそ、この場所が誰かの壁打ち相手になれたら嬉しいです。

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