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見えないものが、光るとき。― 娘と蜘蛛の巣の話

娘は、キラキラしたものが好きです。

昔、自然がたくさんある場所に住んでいました。
森があり、草が伸び、朝になると空気が少し湿っていた場所。

普段は気にも留めないものを、
娘はよく見つけてきました。

「ねえ、大きくて壊れてない蜘蛛の巣がね、
キラキラしてたんだよ」

朝露をまとった蜘蛛の巣。
光が当たることで、
“そこにある”ことが、はじめて見えてくる存在。

娘は、その蜘蛛の巣を
ただ「綺麗だった」とは言いません。

形や理屈よりも先に、
その“瞬間”を丸ごと受け取っているようでした。


これまでに、娘は蜘蛛の巣を3枚ほど描いています。

どれも同じ題材なのに、
同じ絵は一つもありません。

放射状に広がる線、
色の重なり、
中心から外へ、外から内へと行き交う感覚。

それは「蜘蛛の巣」というより、
娘の世界そのものが、
キャンバスの上にひらいているように見えます。


説明しようとすると、
言葉はいつも少し足りなくなります。

でも、足りないままでいいのだと思っています。

見えないものが、
ふとした瞬間に光ることがある。

娘の絵は、
その“一瞬のきらめき”を、
そのまま残しているだけなのかもしれません。


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