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生成AIが企業のデジタルツインをつくる時代~GenAIが実現する“Factベース”業務改革の最前線

この記事の三行まとめ
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企業の業務改革では、GenAIを活用した“Fact(事実)ベース可視化”が、従来のヒアリング中心の改革を大きく変革しつつある。
● マニュアル解析・PC操作ログ解析・AIによるTo‑Be案生成の3ステップにより、“動く業務デジタルツイン”が高精度で構築可能になった。
● このアプローチにより、企業独自の強みを活かした業務改革が、データ駆動で再現性高く実現できるようになっている。

この記事でわかること
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GenAIを活用したFactベース業務可視化の具体的プロセス
● 属人化・例外業務・暗黙知の可視化がなぜAIで可能になるのか
● GenAIが提案するTo‑Be業務デザインの可能性

こんにちは。アクセンチュアの都島です。

今回の記事では、企業の業務改革におけるデジタルツイン作成(現行業務の可視化)の最先端事例の紹介をしたいと思います。


まず、業務改革には、大きく二つのアプローチがあります。
一つは、業界標準のベストプラクティスや最新テクノロジーを起点に、あるべき姿(To-Be)を先に描き、そこへ業務を当てはめていくアプローチ。
もう一つは、あえてAs-Isの実態を徹底的に見極め、その企業固有の個性や強みを活かしたTo-Beを構築していくアプローチ です。
後者が求められるのは、例えば次のようなケースです。
・ベテランの暗黙知に頼っている場合
・業務が属人化している場合
・マニュアルに載っていない作業が多い場合


このような状況において、ヒアリングだけでAs-Isを描こうとしても、
「覚えていない」「説明できない」「マニュアルに書かれていない」
という壁に必ず突き当たります。
だからこそ今、GenAIを用いて“FactベースでAs-Isを可視化する”ニーズが急速に高まっています。
本稿は、そうした As-Is起点で業務改革を進めたい企業に向けた、最先端のアプローチ を紹介するものです。
その全体像は、大きく以下の3つのStepで構成されます。


Step1:散在するドキュメントから「標準業務」を再定義

多くの企業には、PowerPointやExcel、過去のメモ、画面キャプチャ、ローカルに保存された操作手順書など、形式も粒度も異なるドキュメントが無数に存在しています。
それらは“マニュアル”と呼ぶには未整備で、“知識”として活用するには断片的な状態で蓄積されています。
このStepでは、それらすべてをマルチモーダルGenAI(Gemini等)に投入し、内容を横断的に解析・マークダウン化
フォーマットを統一したうえで、統一規格の業務マニュアルとBFC(Business Function Chart)を同時に再構築します。
ここでは、アクセンチュアが長年にわたって培ってきた業務改革・BPRの標準知見も重要なインプットとして組み込みます。
ドキュメントは単に“整理される”のではなく、コンサルティング知見と融合した「業務構造」として再定義されていくのです。

各種マニュアル群から、AIで統一規格のマニュアルを生成

Step2:PC操作の録画データから「動く業務デジタルツイン」を生成

次に行うのが、1日8時間 × 数週間分のPC操作ログを動画として取得し、GenAIで解析するアプローチです。まずは業務改革対象の業務をされている方々のPC操作を一定期間、録画します。その録画データに対して、Vertex AIなどの技術を用いて
·       何時から何時まで
·       どのアプリケーションを使い
·       どのような操作をしていたのか
フレーム単位で文字起こし・構造化していきます。
さらに、約5分単位でこれらの作業をBFCと自動的に突合し、「どの業務に、どの程度の時間を使っているか」を定量的に可視化します。ここでは、「Outlookでメールを確認した後に基幹システムにデータを入力した」「EXCELでデータをコピーし、Teamsチャットに貼り付けた」など、仔細な操作ログを取り出します。

PC操作ログのAI解析の流れ

当然ながら、既存のBFCに紐づかない業務も多数現れます。
それらは「名もなき家事」ならぬ、「名もなき業務」として新たにBFCへ追加されていきます。
加えて、録画画面から帳票らしきシーンのみを自動抽出し、「帳票一覧」としてアウトプットすることも可能です。
これにより、
·       管理者が存在を把握していなかった管理表
·       個人ごとに作られ属人化していた帳票
·       統合・廃止できる類似帳票
といったものが次々と“あぶり出されて”いきます。
もはやここには、「聞き取りによる推測」は存在しません。
あるのは、純度100%の“事実”だけです。

プライバシーとデータ管理という“絶対条件”

ここで極めて重要になるのが、プライバシーへの配慮とデータ管理です。録画データを扱う上で、これは絶対条件となります。
分析の前には、AIが画面上の個人名、顧客情報、金額といった機密情報をすべて自動でマスキング処理を施します。
また、終日撮影される動画は容量が膨大になるため、サーバーへのアップロード時にはネットワークに過大な負荷をかけないよう、データを分割して転送するなどの技術的な工夫も欠かせません。
これらの取り組みは、Factベース分析を支える“見えないけれど最も重要な土台”となっています。

Step3:GenAIに「あるべき業務」を描かせる

Step1で得られた 静的な業務構造 と、
Step2で得られた 動的な業務のFactデータ
この2つが統合されたとき、
AIは初めて 業務の“立体構造=業務デジタルツイン” を描きはじめます。

その上で私たちは、さらに一歩踏み込み、
·       BPR(業務改革)の方法論
·       自動化・標準化・廃止の判断ロジック
といった コンサルティング知見そのものを生成AIに組み込む ことで、
GenAIは、
·       標準化すべき業務
·       自動化できる業務
·       属人化リスクの高い業務
·       統合すべき帳票群
等を 「As-Is」だけでなく「To-Be(あるべき姿)」として提案 し始めます。
ここに至って、業務改革はもはやヒアリング主導の作業ではなく、データ駆動型の設計フェーズ へと完全に移行します。このプロセスを通じて実現されるのは、単なる業務棚卸しではありません。それは、「記憶に依存しない」「主観に左右されない」、ヒアリングの限界を超えた“データ起点の業務可視化”という、まったく新しい地平です。現実の業務が、時間・構造・帳票・役割のすべてを含んだかたちで“再現”される。そこから初めて、その企業ならではの強みを活かしたTo-Beが、精度高く設計できるようになります。

最後に:企業変革(Reinvention)とは、人・組織・システムの在り方そのものを、再創造していくこと

技術は今この瞬間も猛烈なスピードで進化しています。
もはや「進歩」という言葉では追いつかず、「変異」と呼びたくなるほどの速度です。
この変化に追いつくためには、AIだけでなく、それを使う人や組織そのものも変わり続けなければなりません。
私たちが目指している改革(Reinvention)とは、単なる業務プロセスの変更ではありません。
それは、
人・組織・システムの在り方そのものを、再創造していくこと です。
GenAIは、何かしらのアウトプットは出してくれます。ただ、それをもって実際に企業を変えるのは「人」です。
AIと共に考え、AIと共に設計し、AIと共に変革を推進する存在へと、私たち自身が進化していく必要があるのです。
この最前線で、私たちは今まさに、次の業務改革のかたちを創り続けています。

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About the Author
都島三佳
2005年アクセンチュア入社。慶應義塾大学卒。
Accenture Technology TfLS(Tech for Living Systems) グループ所属、Managing Director。
TfLSはその名の通り「生きているシステム」を扱う組織として、導入して終わりの固定化されたシステムではなく、ビジネス環境の変化に応じて進化し続けるフィージビリティの高いシステムの実装を志向。近年は特に、GenAIを活用したソリューションの企画・開発・導入に注力している。
筆者自身は Business Architect(BA) として、
GenAIを活用したビジネスプロセスの可視化およびTo-Be策定を専門領域とし、とりわけ大企業のReinvention(再構築)におけるファーストステップであるAs-IsのFactベース可視化に強みを持つ。テクノロジーとコンサルティングの融合により、
「現場のFactから未来の設計へ」をつなぐ業務変革を数多く支援している。

まとめQ&A
Q1:なぜ業務可視化にGenAIが必要なのか?
従来のヒアリングでは、「覚えていない」「説明できない」「マニュアルに書かれていない」などの限界があり、正確なAs‑Isが把握できないことがある。GenAIは散在ドキュメントやPC操作ログを解析し、“記憶ではなく事実”から業務構造を抽出可能。
Q2:PC操作の録画はプライバシー面で問題ないのか?
録画データはAIで自動的にマスキングされ、氏名・顧客情報・金額などの機密情報を隠した上で分析される。また、データ転送の負荷軽減など厳格な運用体制が前提となる。
Q3:AIが提案するTo‑Be案はどこまで信頼できる?
AIが出す案は、BPR手法や標準化/自動化の判断ロジックなど、コンサルティング知見を組み込んだ上で生成されるため、人間の主観に左右されず、データ根拠を持った高精度の提案が可能。

[参考リンク]
Accenture Technology(アクセンチュア テクノロジー) 記事一覧
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