ミシンは人間関係も縫ってくれる。
先週末、ミシンで、三角巾を四枚作った。
明日、六年ぶりに開催されるPTA主催の「給食試食会」。
先日打ち合わせで集まったとき、メンバーのYさんが「そう言えば私、三角巾なんて持ってないわ」と笑ったのがきっかけだった。
PTA役員は五名。今回給食試食会に参加するのは、そのうちの四名。
「じゃあ作るか。ついでに全員、おそろいで作っちゃうか」
自分でも呆れるほど、突発的な創作スイッチが入り、気づけば家にあった布とフェルトを広げていた。

それにしても、ミシンって本当にすごいなと思う。
上から下から同時に猛スピードで糸を通して、あっという間に布と布をつないでいく。その効率性と確実性は、世紀の大発明だろう。
ミシンの原理が発明されたのは、今から約230年ほど前。1790年に英国の家具製造業者であったトーマス・セントがミシンの構造原理を発明し、特許をとります。ただ、その機械は製品化されることはありませんでした。
知られざるミシンの歴史part.1より抜粋
もし私がその時代に生きていたら、きっと延々と手縫いして、人生を終えていただろうな。
ミシンの存在には、心の底から感謝しかない。
そんな偉大なる発明に助けられて、私は私で、PTAの人間関係を縫っているんだわと自己満足に浸っていた。
ところが。
おとといの朝、BさんからグループLINEが届いて、固まった。
「仕事を休めることになり、参加したいです。まだ間に合いますか?」
実は今、役員たちの関係が、ちょっとほつれている。
夏休み前に小さな衝突があったのだ。
Aさんのちょっとしたミスに、Bさんが強い言葉で責めてしまった。
二人の間の糸はぷつりと切れ、Bさんはその事実に気づいていない。
誰とも面識のなかったBさんをPTAへ誘ったのは他でもない私。
参加できる嬉しさと、複雑な空気感への懸念がずしんと頭上に降りてきた。
とりあえず給食の追加を確認し、「追加OKです!」と全員へLINEを送った。
「よし、三角巾、もう一枚作るか!」と気合を入れた直後、Yさんから個別に連絡が。
「どうしよう。Aさん行かないって」
「……あぁ……」
追加の一枚を作らずに済んだことに正直ホッとした自分がいたが……こんな展開は望んでいなかった。
メンバーの顔を思い浮かべながら、しばらく考え込む。
人間関係って、ミシンで縫う布と布みたいなものだなぁ。
どうしても縫えない箇所があるし、無理強いすれば、破れるしほつれる。
きれいに縫えず、どうしてもうまくつなぎ合わせられないことも。
それでも、誰が、どんな思いで、縫うのか。
どんなカタチになったとしても、その過程が愛おしかったりするのだ。
そして、思う。
三角巾のアイデア、せっせと形にする執念、PTAをなんとか楽しもうとする不器用なまでの熱量……
弁理士さん、お願いします。
私に、「人間関係を縫う装置」としての特許、出していただけませんでしょうか。
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