見出し画像

【展望|J1百年構想リーグ プレーオフラウンド第1戦】サンフレッチェ広島 vs 川崎フロンターレ―2試合合計で争うホーム&アウェイ決戦、第1戦のカギは「アウェイゴール」と「入り」―

2026年5月30日(土)14:00キックオフ 
エディオンピースウイング広島

明治安田J1百年構想リーグ プレーオフラウンド 第1戦

■ はじめに――地域リーグが終わり、舞台は"真剣勝負"へ

百年構想リーグの地域リーグラウンドが全日程を終え、いよいよプレーオフラウンドが幕を開ける。

ホーム&アウェイの2試合合計スコアで争うこのステージは、地域リーグとはまったく異なるゲームだ。引き分けでも失点数が直接響く。アウェイでの振る舞いひとつが第2戦の展開を大きく左右する。気持ちひとつ、準備ひとつで勝負の行方が変わる――そういう緊張感の高い90分が今日から始まる。

川崎フロンターレは第1戦をアウェイで戦う。相手は3連勝でWESTを締めくくった勢いに乗るサンフレッチェ広島、会場は満員が予想されるエディオンピースウイング広島だ。

■ サンフレッチェ広島の現状――ガウル新体制、着実な進化

今シーズンから指揮を執るバルトシュ・ガウル監督のもと、広島は新しいサッカーの構築に取り組んできた。開幕からPK勝利を含む3連勝のスタートを切ったものの、途中4連敗と波を経験し、一時は苦しい時期もあった。

しかし、シーズン後半戦に入って確実に手応えをつかんでいる。最終節の名古屋戦では4-2の快勝、その前節でも4得点。2試合連続4得点は「なかなかできることじゃない」(川辺駿)と選手自身も実感するクオリティだ。特に目立つのが攻撃の多様性で、「クロスだけじゃなく、中で崩すシーンがどんどん増えてきた」(川辺)というように、崩しのパターンが豊かになってきた。

地域リーグラウンドを8勝6敗(PK2勝2敗)で終了。最終順位はWESTグループで3位以内に入り、プレーオフラウンドへ。キャプテン佐々木翔を中心に守備の組織力は高く、カウンターからの鋭い攻撃はJ1でも屈指の破壊力を誇る。川辺駿は「内容と結果ともにチーム全体で手応えを感じている。間違いなくこの半年を生かした」と充実感をにじませており、チームの士気はきわめて高い。

ホームでの第1戦は「最初のホームゲームでしっかり勝って第2戦に向かいたい」(川辺)という強い意志とともに、敵地での声援を最大の武器に戦う。

■ 川崎フロンターレの現状――持山の覚醒と、課題の先へ

川崎は地域リーグラウンドを5勝6敗(EASTグループ4位)で終えた。勝ったり負けたりと安定感を欠いたが、前節・水戸戦では大卒ルーキーの持山匡佑がプロ初ゴールを含むハットトリックで1-3の勝利を飾り、弾みをつけてプレーオフに臨む。

長谷部監督が掲げてきた「失点数が試合数未満」という目標はなかなか達成できなかったものの、後半戦になって攻守の連動と選手の意思疎通は確実に深まっている。山本悠樹のゲームコントロール、脇坂泰斗の状況判断、そして持山・マルシーニョの裏抜けが攻撃のセットとして機能し始めた。

プレーオフで求められるのは、「アウェイで失点を最少に抑えること」と「一発のカウンターを決め切ること」。広島の強力カウンターを受け流しながら、隙を見て縦に刺すパターンを前半のうちに体現できるかが問われる。

課題は変わらず守備の安定性だ。オフェンス時のボールロストからサイドの裏を取られるパターンを修正できているか。広島の鋭い仕掛けに対して、最終ラインが適切なポジションを維持できるか。松長根を筆頭にセンターバックの集中力が90分を通じて試される。

■ 注目選手

川辺駿(広島・MF) 今シーズンの広島で最も存在感を増した一人。守備の読みとボール奪取、前向きな推進力、そして大事な場面でのゴール決定力を兼ね備える。川崎のボランチコンビとの中盤の主導権争いが試合全体のテンポを握るだろう。

中村草太(広島・FW) 最終節・名古屋戦で川辺のラストパスをダイレクトで流し込んだ俊足FW。裏への動き出しの鋭さは川崎の守備陣にとって最大の脅威。松長根との1対1に注目したい。

山本悠樹(川崎・MF) 川崎のゲームメーカー。広島のハイプレスの間を縦パスで割れるか、サイドへの大きなサイドチェンジで局面を打開できるかが川崎の攻撃の鍵を握る。「勝ちをもってくる」と自ら語る意識が、この場面でこそ問われる。

持山匡佑(川崎・FW) 水戸戦のハットトリックで覚醒した大卒ルーキー。後半の選択肢として、ゲームを変える一撃を待ちたい。「ギラギラすることを一番大事に」という精神力で、強敵・広島相手にも自分を表現できるか。

■ 見どころ

① 前半の入り――プレーオフの緊張感をどう乗り越えるか 地域リーグとは異なる「2試合合計」の緊張感の中で、川崎がアウェイで落ち着いた入りを見せられるか。先に失点すると第2戦に大きなプレッシャーがかかる。前半15分の過ごし方が全体の流れを決める。

② 広島の「中で崩す攻撃」vs 川崎のライン統率 ガウル体制で進化した広島の崩しは、単純なクロス攻撃だけではない。川辺を起点に中を崩し、ペナルティエリア内でシュートまで持ち込むコンビネーションが川崎の守備組織を試す。松長根・丸山のCBコンビが跳ね返せるかが第1戦の骨格となる。

③ 川崎のカウンターの質――一発を決め切れるか 広島がホームで攻勢に出る分、川崎には広大なスペースが生まれる。エリソン・持山・マルシーニョが縦に仕掛け、シュートまでもっていける局面をどれだけ作れるか。決定機の数よりも「決め切る質」が問われる。

■ 展望

広島がホームで優位なのは間違いない。

しかし今の川崎は水戸戦を経て、確かな手応えを持ってこの試合に臨んでいる。「どういう心でその日を迎えるか」と長谷部監督が問い続けてきた問いへの答えを、アウェイのピッチで出してほしい。

第1戦でアウェイゴールを奪えれば、第2戦の等々力でのホームゲームが大きく変わる。

まずは「負けない」を前提に、一瞬のチャンスを決め切る――それが今日の川崎フロンターレに求められる90分だ。

いいなと思ったら応援しよう!