短編小説 星の葉ひろい
あなたを見なくなって
数カ月が経ってしまいました。
最後に会った日は
試験勉強をしていた日ですね。
あのカフェでしたね。
あの日も
1ミリも変わらずに
真っ直ぐな 黒の帯をピンと張って
何も言わないで
座っていましたね。
きっとまた 会えるはず…
と 星に願う日もありました。
時間ばかりがすぎて行きました。
あなたが早春にしていた
サマーグリーンのイヤホンが
棚に遺っていたので
それを大切にしています。
その片方を
どこぞの耳に置き忘れてしまったのかと
思いましたが
冷静に振り返ってみると
あの日は
ポケットに仕舞い込んで
あの木陰の枝に ぶら下げていました。
わかっていました。
きっと
あなたの耳を探しに出掛けているのだと。
夏場はきっと
あなたの耳の腰掛けで
お休みするつもりなのだろうと
そう思いました。
あなたはいる
夏色のイヤホンを耳に掛けて
どこかの森の木陰で
自由に 全身を伸ばして
音楽を聴いて
ときには歌って ダンスして
時々 タプタプと響くステップが
聞こえていました。
でも…森ではクマさんに気をつけてください
たとえあなたが
ピンとした張りのある
熊毛なみの 黒いスーツを
身に着けていたとしても
粋な都会のそのスーツを
ねらっているかもしれません
…から
昨日は
私も森に出掛けました。
クマにあってしまった時のための
《隠れ身の術》を
鍛錬しておいて よかったです。
森の大樹が
静かに差し込む光を受け取って
リフレッシュをしているところでした。
そしたら
そこに寝ていましたね
それはあなたでした。
高い所にある
木の幹と枝の間に
ハンモックを広げて
寝そべっているのが見えましたよ。
サマーグリーンのイヤホンも
あなたの耳の洞穴に腰かけて
とても気持ちよさそうに
子守唄を歌っていたようでした。
わるいけど
ハンモックのまま
あなたごと
そっと手の平にのせて
持ち帰って来ています。
今夜は
何千万年光年の星たちが集う
森での話を聞かせてね
次の宇宙の願い事が
星になって降る晩には
あの大樹の麓に また行きたいな
星空のララバイを聴きながら
イヤホンは 静かな眠りにおちて
光りの点は
あなたによって結ばれて…
ながれ落ちた星の葉を
わたしが この手の平で ひろう…
そうやって 星を集めて みたい から…☆彡
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お読み頂き誠にありがとうございました☆彡
