枯木猿猴図──長谷川等伯の猿
重要文化財 長谷川等伯筆 桃山時代(16世紀)
紙本墨画 2幅(各 縦155.0cm × 横115.0cm) 京都・龍泉庵
(画像はこちら👉 京都国立博物館公式サイト)
長谷川等伯(はせがわとうはく)って聞いたら、あの《松林図屏風》が思い浮かぶ人も多いんちゃう?
でもな、等伯ってじつは“動物もの”も描いてたんやで。
今回紹介するのは、その名も《枯木猿猴図(こぼくえんこうず)》──
枯れ木にぶらさがる猿の家族、しかも墨だけで描いた渋〜い作品や。
この絵を描いた長谷川等伯(1539〜1610)は、もともと石川県・七尾の出身。
京都に出てからは、本法寺っていう日蓮宗のお寺の支援を受けたり、千利休にかわいがられたりして、大徳寺にも出入りしてたんや。
桃山時代、狩野派がバリバリ活躍してた時代に、そこに割って入るようなかたちで名を上げたんが等伯やねん。
そんな等伯が描いた《枯木猿猴図》は、いまは2幅の掛軸やけど、もともとは6枚一組の屏風やってん。
現在はそのうち4扇ぶんだけが残ってて、掛軸に仕立て直されたもんなんや。
ちなみに、加賀の前田家が所蔵してたって記録も残ってるんや。
登場するんは、親子の猿と、もう1匹の猿。
枯れ木の上で親子が寄り添い、もう一方では木からぶらさがる猿──まるでひとつの物語みたいや。
等伯は大徳寺に出入りしてたから、そこに伝わる牧谿(もっけい)の《猿猴図》を実際に見てたんかもしれへん。
この作品には、その影響がしっかりと感じられるんや。
筆づかいはというと、墨の濃淡だけで猿の毛並みや木の枝を表現。
枯れ木の力強さ、猿たちのしなやかさ、墨一色やのにこんなに豊かに描けるんやな……と、しみじみ感じるで。
