いつきちゃんのアドベントカレンダー 12月6日
本日のテーマは「ろうそく」
あまり見かけなくなりましたね
ろうそく
ご近所回りをするその日、子どもたちは仲良しの友だちと連れだって、小さな行灯を手に思い思いに出かけていきます。
トミコは隣のマツといっしょです。お母さんは朝から夜まで仕事で家にいないので、トミコはマツの家で暮らし、夜だけ家で眠っていました。
マツは出かける前に行灯の中に小さなろうそくを灯しました。でもトミコの家には行灯はありません。トミコは前に知らないおじさんが訪ねて来た時に置いていった赤いろうそくを持ちました。でもマツのような美しい白いろうそくではないので、それを袂から出す勇気が出ませんでした。
マツの行灯を頼りに、家々を回ります。
「トリック、オア、トリート」そう言うと、中から大人が出てきて、いろんなお菓子をくれるのです。トミコはうれしくてたまりません。こんなのが毎日あればいいのに、と思います。トミコは行灯がないことをつくづく残念に思いました。
ひとしきり家を回って、たっぷりのお菓子をもらって、マツの家に帰ってきました。
マツが行灯の底を持ち上げると、もうろうそくは消えそうになっていました。トミコは着物の袂から赤いろうそくを取り出すと、その先をろうそくの火にかざしました。しかし赤いろうそくは少し先を燃やすだけで火は点きません。
諦めかけたその時、そこから火花が吹き出しました。夜の闇をトミコとマツの周りだけ昼にするように、おとぎの国にするように、それは輝き続けます。それは見たことのない天国の灯りのようでした。
やがて火が消えて、夜の闇が戻っても、マツとトミコはいつまでもあったかいものに包まれているようでした。って、話。


