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kyoumusubi
【ショートショート】 『メガネ初恋』
私はメガネだ。「おい、メガネ」とかいう政治的に正しくない表現ではなく、持ち主でないほうのメガネそのものだ。
なぜ物が語るかと驚くかたもあるかもしれないが、私はスマートグラスである。AIが搭載され、見たものを分析して主人に情報提供し、必要とあらば写真を撮るスマートグラスなのだ。
その私が恋をした。今時のAIなら不思議はない。ご主人様が散歩中偶然見かけた女性に、アルゴリズムが恋をした。彼女のことを見るたび、私の脳裏に、早い話がメモリに、情報が刻まれるのであった…
「…ていうことなんですよ。僕が彼女をつけたわけではなく、このメガネが自動的に彼女を追ってしまったというかですね、僕としては彼女に対する思いなどこれっぽっちもなくて…」
「そんな言い訳で通ると思っている? 裁判でそう訴える?」
「あ、やっぱ無理ですよね。ハハ…」
警察官はメガネをかけた男をストーカー罪の容疑で逮捕した。
