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【ショートショート】 『夢のタイムスリップ』

「こういうものですが」
 男の前に、スーツ姿の男女が現れ、手帳を示した。
「『時間警察』?」
「あなたには世の中を変える能力がありますね。自分でもご存知では?」
「おお、判ってくれるか」
 男はいつも、自分には世界の運命を変える力がある、と触れ回っていたが、だれも信じなかった。
「判るどころか、大変な脅威です。あなたは夜な夜な、夢を通してタイムスリップをしている。そのせいで歴史が大混乱をきたしているのですよ」
「おおそうか。それはすまなかった」
「宇宙が消滅する危機にさらされています。そこであなたには…」
「何をする気だ。助けてくれ」
 男は命乞いをした。
「ま、夢さえみなければいいのですが」
「夢はコントロールできない」
 では、と時間警察を名乗る二人が顔を見合わせた。
「睡眠薬で熟睡してもらう、のでも結構」
「判った。飲む。飲むから助けてくれ」

 その晩、看護師と医師は祝杯をあげた。
「誇大妄想狂に、やっと薬を飲ませることができましたね」


#爪毛の挑戦状

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