ニューヨーク州弁護士への道⑥
カウンセラーは怒り狂った。
「ありえない」「この大学を訴えるべき」・・・それ以上に彼から言われたことは「あなたは大学に何か損害を与えたのか?」
もちろん、そんなことはない。私はただの不真面目な法学部生だっただけだった。
とにかく、カウンセラーからすれば、こんなことはあり得なかった。こんなことが生じるとしたら、私が在学時代に大学に何か損害を与え、いまペナルティを与えられているのではないか、ということだった。
私からすれば、あそこまで緩いゼミにいたのでプラマイゼロだなとは若干思った。
ただ、推薦状をお願いできる教授がいないのは死活問題となった。
私は、ゼミの教授以外に仲いい教授がいなかったので(ゼミの教授も仲良くなかったわけだが)、自分なりに真面目に出席した授業で、かつ、そのうち講師が法学部の教授だった授業を選び、その講師だった教授にお願いした。
返事はすぐに来た:「ゼミの教授に頼みなさい」
ここにきて、さすがに私も焦り始めた。あと、若干怒りも感じた。(付け加えるとカウンセラーはずっと怒っている)
法学部の事務室を訪ね、この状況を伝えた。
すると、法学部長に報告が上がったようで、さすがに私のことは知らないまでもこの状況は好ましくないと思ったのか、私のゼミの教授に対して、推薦状を書くよう指示が下ったとのことだった。
ゼミの教授は、元々断りの際、当初の私のお願いのときに「推薦状のドラフトはこちらでするので」と伝えたことを捉え、「そもそも対応できないし、他人にドラフトを書かせるなんて言語道断」という断り文句だったのだが、法学部長の決裁が下ったあとは、「ドラフトはあるのか?」との仰せだった。私は恭しく、前から用意してあったドラフトをお送りした。もちろん、彼はご自身の目で全文をチェック・添削され、ご自身の文書としてご署名をいただいている。
大学との交渉はこれだけではなかった。
事務局は、米国に郵送する私の卒業証明書を厳封せずに送付したため、送り直しの申請をさせられたし、上記のゼミの教授の推薦状にレターヘッドを調達するために、大学の管理部門と直接話す必要があった。その都度、カウンセラーが激怒したことは言うまでもない(曰く「こんなひどい対応は聞いたことがない、もう訴えて大学在学中の学費返還を求めるべきではないか」)。
また、これは完全に私のせいだが、成績証明書上の私のGDPが低すぎて、カウンセラーから、どんなにTOEFLの点数がよくてもいかなるロースクールへの入学も約束できないと言われた。
最後に、いまどのような扱いになっているかわからないが、ニューヨーク州司法試験の受験資格に関わる、大学に対応いただいた書類の対応について記述する。
当時、LLM卒業を見越し、NY州司法試験受験のための事前申請を留学前に行っていた(LLMの合格を終えて、入学までの間)。
この申請には、米国外において、当地の司法試験を受けるための教育用件を満たしている証明書の発行が必要となる(当時のNY bar Rule 520.6 (b)(1) 3 (b))。学部卒の私でも予備試験ルートを根拠としてこういった書面の発行は可能であり、過去の発行履歴を確認したうえで、発行を要請した。
推薦状やレターヘッドの騒ぎで私のことはさすがに知られていたようで、当該書面の発行は大きな障害はなかったと思うが、次に立ちはだかったのは、本場、ニューヨークだった。
書面は受け取っていないという。しかし、クーリエ業者の追跡番号では届いているという記録になっている。
電話をかけても出ない。メールを送付しても返事がない。
そこで、FAXで送付し、その送付状の中で追跡番号も明示したところ、すぐにメールで「受領した」旨の連絡があった。
この現象は他の日本人学生にも生じていたようで、その後知り合った官庁派遣の方も同じ目に遭い、同じくFAXで解決したそうだった。
それ以外、私はFAXが大好きである。紛争のときも、先方に対する通知の手段としてFAXは結構検討している。
