ニューヨーク州弁護士への道④

一般的に、弁護士等プロフェッショナルな経験を有する方の米国ロースクール留学とは、米国のLLMという課程に留学することをいうと思う。
米国では、今の日本も凡そ近いが(予備試験は置いておいて)、いわゆる4年制大学を卒業したあとに、3年制のロースクールを卒業することにより、その州の司法試験受験資格を得ることが多いようで、すなわち、ロースクールを卒業しないことには、弁護士になることもない(米国では、司法試験合格して社会に出る時点で日本の法曹三者のような分け方はせず、まず日本でいう弁護士/Attorneyになり、キャリアに応じて検察官や判事になるという感じのようだ。これも州によると思うが)。この3年制の課程は、JDという。

要するに、我々が通常留学するのは米国における純粋なロースクール(日本でいう法科大学院)とは若干異なり、LLMという、少し専門的な人々に対するものであり、入学から卒業まで1年または2年というものになる(1年の場合でも厳密には9か月くらい)。

私は、それすらも全然知らなかった。
留学していいよ、と会社に言われてから、どうすればいいかよくわからないので、米国留学を支援する無料カウンセラーにとりあえず飛び込んだ。

最初は大手のところで、無料で担当の方が真摯に話を聞いてくださった。その方は、米国のロースクールに関する知識は皆無だったが、ご自身が米国留学経験者で、そのときの留学経験が忘れがたいほど良かったようで、ずっと「米国いいなあ」「いい会社ですね」という調子で、何となく時を過ごすには最高の相手だった。英語には相当自信があるのかというので、当時覚えたての単語である"both"の発音を披露したところ(細かく覚えていないのだが、なぜか当時bothには自信があった)、上手く通じず、複数回繰り返したところ、「あ、ボゥスですね」と言われた。そのときから今に至るまで、bothの発音の際「ゥ」を入れることを意識している。なお、便宜上「ス」と記載したが、ちゃんと舌を歯の間にいれるthの発音も常に意識している。

その次に訪問したカウンセラーは、LLMに特化した方だった。非常に手慣れた様子で、私の状況を聞き出すと、(当時は四月頃だったのだが)「まず死ぬ気で英語を勉強してください。毎月TOEFLを受験すること。80点超えたら連絡してください。」と言われた。
当時の私のTOEFLの点数は40点程度だった。
カウンセリングの間に、ニューヨーク州司法試験の受験資格の話になった。私も事前に簡単にリサーチはしていたが、そもそも自分には関係のない話と思っていたので、いかにも興味がなさそうに聞いていた。
彼は、私に「受けないの?」と聞いた。私が「うーん」みたいな反応をすると、「じゃあ何のためにLLMいくの?」と聞かれた。
私が自信満々に「法律英語を学ぶためです」と回答すると、「英語を学びにいくの?じゃあ意味ないよ、1年いるだけでペラペラになるわけないでしょ。みんな米国の法曹資格を取りに行くんだよ。あなたも、会社云々よりも自分のキャリアを考えて何を得たいのか考えなさい。」と言われた。

衝撃だった。え、英語うまくならないの、って思った(ちなみに、本当にそうだった)。

オドオドした私に対して、彼は繰り返し、とにかくTOEFLの点数を上げてから来いとおっしゃった。まず今の点数ではお話にならない、と。
そして、8月頃からは各校への願書等の提出準備プロセスが始まるため、夏頃までには80点程度取っている必要がある、とのことだった。

焦った私は、bothで打ち解けたカウンセラーに電話した。
電話口に出た方は別人で、彼女はもう退職したという。用件を聞かれ、とにかく4か月でTOEFLの点数を倍にしたいという趣旨を伝えた。電話口の方からは、冷静に「現実的には無理です」と言われた。

独学はどう考えても無謀だと思った私は、上司から紹介された、社会人専用の英語塾に通い始めた。

2017年の春のことで、私は2018年秋入学を目標に、とにかくTOEFLの点数を上げることに注力した。

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